« 陥没 | トップページ | 武部聡志ORIGINAL AWARD SHOW~Happy60~ »

歌舞伎「猿若江戸の初櫓」「大商蛭子島」「四千両小判梅葉」「扇獅子」

江戸歌舞伎三百九十年 猿若祭二月大歌舞伎 昼の部  2017年2月

夜の部の中村勘太郎、長三郎兄弟初舞台が話題の歌舞伎座。そちらはテレビドキュメンタリーで観ることにして、あえて昼の部に足を運んでみた。東京マラソンとかちあった千秋楽は、前の方に空席があったけど、江戸歌舞伎の歴史を感じる珍しい演目が並んで面白かった。歌舞伎座中央前の方のいい席で1万8000円。休憩3回を挟み5時間弱。

幕開けは1987年江戸歌舞伎360年記念の猿若祭時に初演した、田中青滋作の長唄・筝曲舞踊「猿若江戸の初櫓(はつやぐら)」。寛永元年(1624年)、中橋(現在の日本橋人形町3丁目)に勘三郎が猿若座を創設したエピソードを描いた、めでたいフィクションだ。
新年に上方からくだってきた猿若(勘九郎)と阿国(七之助)が、木材商・福富屋(鴈治郎)を助けて荷車を曳く。感心した奉行・板倉(彌十郎)が所領に芝居小屋を建てることを赦し、福富屋が援助することに。喜んで、まず阿国が厳粛に、続いて朱色の綱紐を巻いた猿若が軽妙に踊る。
朱色を基調に、銀杏をくわえた鶴の紋の櫓が登場して、華やか。同時に勘九郎持ち前の愛嬌とリズム感に、江戸歌舞伎開祖のプライド、さらには一座の者やスポンサーを上手にのせちゃうプロデューサーとしての魅力が重なって、実に感慨深い。若手の児太郎、橋之助や鶴松が参加。

早めのランチ休憩の後、「大商蛭子島(おおあきないひるがこじま)」。洒落本や俳句といった文化が花開いた天明4年(1784年)、中村座顔見世で初演し、1962年に復活したという、古風でおおらかな狂言だ。国立劇場での上演を挟んで今回がなんと48年ぶり。
源平の設定だけど、第一場・正木幸左衛門内の場の前半は、まるきり江戸庶民のエロチックコメディ。伊豆に配流中の頼朝(松緑)は手習の師匠に化け、やたらと弟子(芝のぶら)にちょっかいを出す。頼朝を慕う北条時政の娘・政子(七之助)とお付きの清滝(児太郎)が訪れ、頼朝との濡れ場へ。妻・辰姫(時蔵)は時政のバックアップを受けるため身を引くが、長唄「黒髪」にのせて切ない嫉妬を語る。小道具で父・義朝の髑髏や北条の宝・三鱗が登場。
後半から時代に転じ、文覚上人(目つきが巧い勘九郎)が後白河院の平家追討の院宣を届け、ぶっ返りで白紫衣装となった頼朝も決起を表明。下男に化けていた敵方武将(亀寿)や、義朝の仇(團蔵)を討つ。
続く第二場・源氏旗揚げの場で、雄大な富士をバックに、源氏の白旗を掲げて出陣していく。幕切れは巨大な朝日までのぼってまたまためでたい。若手は男女蔵の長男・男寅や福之助らが参加。

休憩を挟んで、黙阿弥晩年、明治18年(1885年)の初演作「四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)」。安政2年(1855年)に起きた御金蔵破りを素材に、牢の風習などをリアルに描き、現代劇への橋渡しに位置する。菊五郎、梅玉の古風な存在感が大きい。
序幕第一場・四谷見附外の場は夜のお堀端。おでん屋台の亭主でスケールの大きい富蔵(菊五郎)が、小悪党の藤十郎(梅玉)を御金蔵破りに誘う。第二場・牛込寺門前藤岡内の場で2人は緊迫しつつも、盗んだ金を床下に埋めることにする。二幕目・中仙道熊谷土手の場は雪のなか、捕われて唐丸籠で江戸へ向かう富蔵が、女房(時蔵)、舅(東蔵)、幼い娘と別れる愁嘆場。
三幕目第一場・伝馬町西大牢の場でも富蔵が大物ぶりを発揮。蔓と呼ばれる金品の扱いや、きめ板の仕置き、紙で作った数珠などのしきたり、重ねた畳に座る牢名主(左團次)、隅の隠居(歌六)、囚人たち(亀三郎、亀寿)、新入り(松緑、菊之助)らの生態が描かれる。ユニークだなあ。第二場・牢屋敷言渡しの場で、役人(秀調、松江)が重々しく刑を告げ、囚人たちの題目をバックに菱形の縄を受けた富蔵、藤十郎が、遠くをみる立ち姿で幕となりました。

短い休憩の後、打ち出しは明るく清元舞踊「扇獅子」。鳶頭・梅玉と芸者・雀右衛門がいなせに日本橋の四季を描く。獅子頭に見立てた扇、橋と鮮やかな牡丹の屋台というド派手なセットが楽しかったです。

20170226_022

20170226_047

20170226_045

「扇獅子」

« 陥没 | トップページ | 武部聡志ORIGINAL AWARD SHOW~Happy60~ »

歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3458/64944189

この記事へのトラックバック一覧です: 歌舞伎「猿若江戸の初櫓」「大商蛭子島」「四千両小判梅葉」「扇獅子」:

« 陥没 | トップページ | 武部聡志ORIGINAL AWARD SHOW~Happy60~ »