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お勢登場

お勢登場  2017年2月

作・演出倉持裕。やや年齢層若めのシアタートラム、上手寄り中段で6800円。休憩無しの2時間半。
江戸川乱歩の8本もの短編を、謎の女・お勢(黒木華がはまり役)を軸に構成。ナンセンスコメディやテレビコントも書く作家だけど、今作は奇妙な味わいと、バラバラの物語をパズルのようにつないでいく技巧が際立つ。セット1Fに並べた3セットを前後に出し入れし、2F部分や紗幕、映像も駆使。一つひとつシチュエーションの意味を細かく説明しないものの、混乱はないし、むしろテンポがよくて心地いい。複雑な美術は「シブヤから遠く離れて」などでお馴染みの二村周作。

盛り込まれたエピソードは、乱歩デビュー作である「二銭銅貨」の暗号や、明智が初登場した「D坂の殺人事件」の密室という「本格」要素もさることながら、いかにも乱歩らしい人間心理の歪み、倒錯がたっぷり。病身の夫を衝動的に長持に閉じこめる「お勢登場」、生々し過ぎる絵が題材の「押絵と旅する男」、わざわざ変装して自分の妻と浮気しちゃう「一人二役」…。観る者をぞくっとさせる。大正から昭和にかけての凌雲閣、花屋敷の木馬、見世物小屋の覗きからくりといった、キッチュな道具立ても怪しさを引き立てる。

とはいえ、コケ脅しのエログロはない。トントンと舞台転換していくせいか、悪女だけど透明感のある黒木の持ち味なのか。笑いも随所に散りばめられていて、突如高らかにスタイリスティックスを吹く梶原善や、警官役までこなしちゃうお馴染み片桐はいりが実に達者だ。
「マーキュリー・ファー」のナズが印象的だった長身の水田航生は、探偵役などで爽やか。ほかに寺十吾(じつなし・さとる)、千葉雅子、川口覚らがくるくると何役も演じて巧かった。

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