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歌舞伎「義賢最期」「口上」「錣引」「黒塚」

寿新春大歌舞伎 夜の部  2017年1月

2017年の観劇始めは新橋演舞場で、市川右近改め三代目市川右團次襲名披露に足を運んだ。同時に息子タケル君が二代目市川右近として初舞台。めでたさとともに、スターの海老蔵、猿之助競演で見ごたえある演目が並び、休憩3回を挟む5時間をちっとも長く感じなかった。花道手前、中央あたりのいい席で1万8000円。

まず「源平布引滝」から「義賢最期」。2008年に文楽「義賢館」を観ており、1965年に当代仁左衛門が復活したという歌舞伎バージョンにも興味があった。とにかく主役・木曽義賢の海老蔵が格好いい!
前半は平治の乱で敗れ、病と称して引きこもっている設定で、情熱を押し殺す。配下の折平(中車)が、実は源氏一族・多田行綱と見抜いて一転、手水鉢の角を割り、白旗を示して源氏再興を力強く宣言。平家方の使者に兄・義朝の髑髏を踏むよう迫られてると怒りを爆発させる。
討ち死を覚悟してからは、娘(可愛い米吉)、妻(右之助、お腹の子がのちの義仲)を逃がすシーンで、花道での別れが切ない。観る側はどうしてもプライベートの苦労も思ってしまうし、胸に迫りました~ そしてラストは礼服・素襖大紋での激しい立ち回りとなり、戸板倒し、階段に倒れ込む仏倒しをアクロバティックに演じ、カタルシスがありました!

25分の休憩後、口上。祝い幕は慶応三田会から。梅玉が優しく披露役を務め、猿之助、男女蔵、二代目右團次につながる右之助、「なんでそんなに元気なの」と海老蔵、門之助、中車、そして澤瀉屋の門人から高嶋屋となった右團次本人、6歳の新・右近ちゃんもしっかり挨拶して、可愛い!
「襲名披露特別御膳」の食事休憩を挟んで、右團次主演「錣引」から摂州摩耶山の場。源平合戦の逸話を題材にした黙阿弥の作だ。三升の提灯が並び、歌舞伎らしい様式美が楽しい。
まず極彩色の摩耶山天上寺に平家の人々が祈禱に訪れる。可憐な伏屋姫(米吉大活躍)が源氏がたと揉み合って、重宝・八声の名鏡を崖下に落としてしまう。
大ゼリがドーンと上がって崖下。順礼・実は景清(はつらつ新・右團次)と虚無僧・実は三保谷四郎(古風さがいい梅玉)が腹を探り合う。そして背景が開け、いかめしい姿に転じた景清に、緋縅の鎧姿の三保谷が一騎打ちを仕掛け、景清が三保谷の兜の錣を引きちぎる名場面へ。互いに怪力を認めて、幕切れはお約束、戦場での再会を約して別れる。実におおらかな1幕。

幕間後のラストは2015年にも観た、猿之助の極付「黒塚」。奥州安達ケ原の闇に浮かぶ老女岩手の影が怪しい。糸繰り唄の切なさ、芒の原で長唄囃子と琴にのった童心の舞踊の何とも言えない切なさ。三味線の格好いいソロを挟んで、いよいよ鬼女の本性を現し、立ち回りから花道での仏倒れ! まさに猿之助オンステージだ。
前回は勘九郎だった阿闍梨祐慶は、右團次でスケール感があり、強力・猿弥は程よくコミカル。山伏で門之助、中車。充実した、いいお正月でした。

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