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世界

シアターコクーン・オンレパートリー2017「世界」  2017年1月

ほぼ1年前の「同じ夢」も良かった、赤堀雅秋の作・演出。たまたま2階最前列で、柵が邪魔でとても見づらいのが残念だったけど、笑いにくるんだ市井の人物たちのトホホな日常、そこはかとない温かさが染みる。カタルシスはないものの、手練れ揃いの俳優陣、特に風間杜夫、大倉孝二の説得力が際立つ。男性客が目立つシアターコクーンで1万円。休憩無しの2時間強。

舞台は船橋市、しがない町工場。父・義男(風間)はいつも不機嫌で、妻・節子(梅沢昌代)に心底、愛想をつかされている。父を嫌いながらも家業を継いだ息子・健二(抑制気味の大倉)は、近所のスナックに入り浸り、ママ(鈴木砂羽)と浮気中だ。
父子はそれぞれ暴走しかけるけれど、ヒリヒリ感は乏しい。物語の基調は、時に同時進行する無為な会話の、徹底した噛み合わなさだ。
そして視点は、あくまで卑小。母は腹痛に苦しむときも、床のゴミが気になって仕方ない。彼らの世界の、なんとちっぽけで、間が抜けていることか。繊細で、リアルだなあ。それが雪が舞うなか、父が自棄気味ながら、ついに負けを認めるシーンの切なさにつながっていく。サイドストーリーの、終始真実味のない工員・辺見(早乙女太一が達者で愛嬌が漂う)と純なバイト諸星(和田正人)、風俗嬢あずみ(初舞台の広瀬アリス、ちょっと可愛過ぎか)の、いかにも若者風な3角関係との対比、大人たちとの出会いが効果的。

ごたごたしたダイニングキッチンやスナックなどを回り舞台で転換し、セット上部に歩道橋がかかる(美術は「太陽」などの土岐研一)。大音量の、いかにもなカラオケが詫びしい。ほかに健二の妻に青木さやか、ママの夫に赤堀、気のいい工員に福田転球。

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