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仮名手本忠臣蔵

12月歌舞伎公演 通し狂言 仮名手本忠臣蔵 第三部  2016年12月

国立劇場開場50周年記念、3カ月連続完全通し上演の最終月。文楽バージョンも観て、堂々の完結だ。国立劇場大劇場中ほど、花道の下手側脇で1万円。休憩3回を挟み5時間。

まず八段目・道行旅路の嫁入はプログラムの詞章を読みながら。原作にそって2人旅のシンプルな演出。花道から戸無瀬(古風な魁春が六代目歌右衛門の当たり役で、立女形の大役を継承)と小浪(なんと歌舞伎座と掛け持ちの児太郎、ちょっとオーラ不足かな)が登場し、風景が富士山から琵琶湖へと移り変わっていく。この明るさが、続く母娘の行動に説得力を加えるんだなあ。プログラムのコメントで、児太郎が「菊之助に教わる」というのがなんだか感慨深い。

ランチ休憩のあとぐっと重厚に九段目・山科閑居の場。歌舞伎では30年ぶりという「雪転(こか)し」からだ。由良之助(悠然と梅玉)の花街帰りの少し崩れた雰囲気や、段切りへの伏線がよくわかる。
訪ねてくる戸無瀬は、供に太刀の箱を持たせていて勇ましい。お石に抜擢された研修生出身・笑也が、抑えた演技、声もりんとして見事な造形。虚無僧姿の尺八でさんざんひっぱってから、本蔵(幸四郎が当代最多の5回目)が正体をあらわす。由良之助との古風なやり取りをへて、奥の障子を開けると雪でつくった五輪塔が目に鮮やか。雨戸を外す工夫を力弥(年配だけど雰囲気が合っている錦之助)が披露する。刃傷の場での行動を後悔する本蔵の苦悩が鮮烈だった文楽バージョンに比べ、今回は2家族それぞれの悲劇の構図がくっきりする印象。

20分の休憩後、こちらも上演機会が少ない十段目・天川屋義平内の場。義平の歌六が勢いよく躍動する。捕手たち、実は義士は大鷲文吾の松江ら。女房お園(高麗蔵)も登場。

短い休憩を挟んで、いよいよ十一段目。高家表門討入りの場からは、明治以降の写実的な立ち回りとなり、歌舞伎ならではのスペクタクルだ。まず黒雁木の火事装束で勢ぞろいするのが、いかにも忠臣蔵。初めて観る高家広間の場は、力弥(可愛い米吉)が師直の息子・師泰(男女蔵)と、続いて矢間重太郎(長い槍が似合う隼人)が幼い茶坊主(松江の長男、16歳の玉太郎)と対決する。
続く高家奥庭泉水の場、高家側の小林平八郎で、贅沢に松緑が登場する。竹森喜多八(声のいい亀寿)と激しいチャンバラを繰り広げて、見ごたえたっぷり。ついに高家柴部屋本懐焼香の場に至り、寺岡平右衛門(錦之助が2役で)が義弟・勘平の縞の財布を供える。勝鬨の声で拍手! ほかに若手で千崎弥五郎(種之助)、赤垣源蔵(左團次の孫、男女蔵の長男の割に小柄な男寅)、佐藤与茂七(梅丸)らが健闘し、高家側の和久半太夫は似合いの亀蔵。
一転して視界が開ける花水橋引揚げの場は、若狭之助(初役!の左團次)がしっかり締めくくる。長丁場を完走して、観る側も達成感がありました!

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