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シネマ歌舞伎 ワンピース

シネマ歌舞伎「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」  2016年10月

昨年話題をまいた市川猿之助演出による国民的マンガの歌舞伎化を、シネマバージョンで。仲間、冒険という超シンプルなジャンプテイストに、土砂降りの本水、客席総立ちの宙乗りなどケレンをてんこ盛りに。劇団扉座(六角精児ら、かつては高橋一生もいたらしい)の横内健介が脚本・共同演出だそうです。よく入った新宿ピカデリーで2100円。2015年11月新橋演舞場での3時半の公演を、大胆に編集して休憩無し約2時間。

お話はルフィ(子供っぽさが似合う猿之助)はじめとする海賊一味と、海軍との闘い。新感線ばりのキンキラ衣装にプロジェクションマッピングでチャンバラをたたみかける。映像ならではのズームやスローモーションも効果的だ。兄と慕うエース(福士誠治が堂々の二枚目ぶり)の救出劇を軸としつつ、中盤は猿之助好みなのか、「キンキーブーツ」みたいなゲイのショーがたっぷり。ボン・クレーの坂東巳之助がなかなかの怪演で、抜群のコメディセンスと切なさを発揮する。六方では大向こうもかかってましたねえ。
ゲイのイワンコフ、敵役センゴクと、なんでもござれの浅野和之がさすがに達者。「コペンハーゲン」で観た同じ役者とは思えません。中村屋における笹野高史の役回りか。要所を黒ひげなどの市川猿弥、そして重々しい白ひげの市川右近(先代猿之助の部屋子1号、2017年1月に市川右団次を襲名)が締める。気取ったサンジなどの中村隼人がはまっており、一門の春猿、笑也らも安定。

なんと小6女子のRUANが歌う、北川悠仁の主題歌がとてもキャッチ―で、ディズニーみたいなミュージカル要素は子供も喜びそう。その実、白波五人男から碇知盛、ニヤリとさせる狐忠信、助六、まさかの先代萩まで、歌舞伎名場面のパロディも多用していて、歌舞伎のファン層をひろげるかも。
受けるエンタメをごちゃっと詰め込んで、さて、これからどう進化するか。成田屋、高麗屋、中村屋といろんな試みをしてるけど、やっぱり澤瀉屋のチャレンジ精神は半端ない。再演も注目。

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