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シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」 

月イチ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」  2016年7月

2005年5月、中村勘三郎の18代目襲名披露狂言を、シネマ歌舞伎で鑑賞。木村錦花作の新歌舞伎をベースに、野田秀樹が脚本・演出を務め、2001年8月納涼歌舞伎の初演で評判をとった演目だ。
当時50歳の勘三郎が、全編野田戯曲らしく飛び跳ね、言葉遊びやギャグを連発して、汗だくの大熱演だ。2012年に亡くなった事実を知る今観ると、「生きたいよお」という叫びが胸に迫る。同時に仇討を囃すだけ囃して、あっという間に飽きちゃう大衆の姿から、エンタテインメントで看板を背負っていく者の気概を感じさせる。
年配女性を中心に大入りの東劇、中央あたりで2100円。休憩無しの1時間半。

赤穂浪士討ち入りのニュースで沸く、近江・粟津藩の剣術道場。ひとり研屋あがりの守山辰次(勘三郎)だけは、馬鹿馬鹿しい、潔い死を望まない武士もいるはずだと自説を語り、顰蹙をかう。よせばいいのに奥方・萩の江(威風堂々の中村福助)の前で、お追従から家老・平井市郎右衛門(坂東三津五郎)に剣術指南を請い、散々に打ち据えられちゃう。仕返しに「ピタゴラ装置」ばりのからくりで市郎右衛門を脅かすが、家老は仰天のあまり卒中で死去。子息・九市郎(颯爽と市川染五郎)、才次郎(同じく中村勘九郎)に仇と追われるはめに。
2年後、辰次は逃亡先の道後温泉で、仇討の旅と出まかせを言い、芸者のおよし(福助が2役)、おみね(中村扇雀)姉妹や金魚(中村芝のぶが可憐)、役人・町田定助(中村橋之助)の人気を得ている。そこへ平井兄弟が現れてすったもんだの末、大師堂で対決。堂守良観(橋之助が2役で重々しい)に諭され、兄弟の刀を研いで必死に命乞いするが、移り気な見物衆が去ったところで結局、討たれてしまう。憐れだなあ。

有名なだんまりでの、ウエストサイド・ストーリーみたいな群舞など、かなりはちゃめちゃ。とはいえさすが歌舞伎俳優、皆さん悪びれせずにやり切ってます。「見事じゃ!」を連発する福助、軽妙なステップを披露する三津五郎。太夫が旅籠の階段上から、見台をもって舞台前面にでてきちゃったり。ほかに中村獅童、中村七之助、坂東弥十郎、片岡亀蔵ら。
階段状の回り舞台で、様々な職業の通行人を歩かせるくだりは、本当の主人公が大衆と思わせて文学的だ。冒頭の影絵による討ち入りや、舞台いっぱいを使う畚(ふご)シーン、お堂のバック一面の紅葉、そして幕切れ、胡弓の「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲にのせ、はらはらと散る一葉も鮮やか。最後はカーテンコールでした~

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