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レディエント・バーミン

レディエント・バーミン  2016年7月

英フィリップ・リドリーの昨年発表したばかりの3人芝居を、白井晃が演出、そして大好きな高橋一生。昨年の観劇でベストの衝撃だった「マーキュリー・ファー」の顔合わせだ。今回はブラックコメディで、前作とはがらりと味わいが違うけど、現代人の身勝手さ、無責任さを観る者に突きつけて、期待通り。
ちょうどいい大きさのシアタートラム、下手寄り最後列で7000円。吉高由里子人気か、若い女性が目立ち、立ち見も。休憩無しの2時間弱。

貧しくも善良な若い夫婦、オリー(高橋)とジル(吉高)が、客席に向かって告白する。ある日、「役所」のミス・ディー(キムラ緑子)が2人に「理想の家を無料で提供する」と申し出たこと、移り住んだボロ家でおぞましい「リフォーム」手法に出合い、たちまち取りつかれてしまったこと。2人は欲望を満たし、荒廃した近隣も見違えるように再生していくのだが…

知的で笑いも多く、怪談めいたストーリー。どこか前川知大を思わせる。
夫婦の「子供のため」というきっかけは、真摯なもの。しかしやがて百貨店や通販にあおられ、我が家を飾ることだけに熱中していく。心を侵食する物欲と差別感。たとえ直接手を汚さなくても、ごく普通の便利で豊かな暮らしという選択は、誰かを踏みつけることで成り立っているのではないか? 罪悪感にさいなまれた挙句、すべてをリセットしちゃおうとする気分が衝撃的だ。
笑って、ひき込まれて、観た後にぞくっとする。タイトルの意味は「光るゴミ」だそうです。翻訳はいつもの小宮山智津子。

松井るみの美術は、ポップでお洒落。テーブルと椅子だけのセットで観客の想像力をかきたてつつ、白い壁に映像で、不思議な光や豪華インテリア、夜景などを描き出す。
夫婦2人は出ずっぱりで、観客とのやり取りも含め、ハイペースでしゃべりまくる。高橋は罪の意識に追い詰められていくあたり、いつもの切なさが全開。とぼけたコメディセンスも光り、マッシュルームぽい髪型と眼鏡がチャーミングだ。
そして舞台は2度目という吉高も、ちょっと風邪気味で心配だったけど、悪気のない残酷さが可愛いキャラにはまってた。観客いじりも度胸満点。特にクライマックスの、6分間を7時間稽古したというパーティーシーンは、2人でくるくる回り続けてハイテンションだ。藤田貴大か? この異様な熱量が直接伝わってくる感じは、演劇ならではだなあ。
キムラはさすがの安定感。謎のミス・ディーと、すべてを理解し受け入れる女性の2役をこなす。

最後列に白井さんが陣取り、客席には余貴美子さんらしき姿も。シアタートラムは今年もう4回目で、いつも楽しませてくれるなあ。今回はチケットが凄くとりにくかったけど… 

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