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新皿屋敷月雨暈 魚屋宗五郎

第八九回歌舞伎鑑賞教室「新皿屋敷月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)魚屋宗五郎」  2016年6月

初めての鑑賞教室で、観たかった魚屋宗五郎。やはり歌舞伎座などと比べて若い人が目立ち、幅広い客層が集まった国立劇場大劇場の上手後ろのほうで3900円。プログラムの無料配布が嬉しい。休憩をはさみ2時間。

作品は黙阿弥が、5代目菊五郎の「酒乱の役を」というリクエストで書いたという生世話もの。皿屋敷というだけに、旗本・磯部主計之介(かずえのすけ)に見染められて奉公にあがった娘・お蔦が、無実の罪で井戸へ斬り落とされちゃう悲劇がベースになっている。
序幕・片門前魚屋宗五郎内の場は、祭囃子が響く門前町。妹・お蔦の死の悲しみに耐えていた善人の宗五郎(芝翫襲名を控えた中村橋之助)が、同僚のおなぎ(落ち着いてきた中村芝のぶ)から真相を聞いて、「呑まずにゃいられねえ」と禁酒の誓いを破る名場面だ。おろおろする女房おはま(なかなか女房らしい時蔵の長男・中村梅枝)、父太兵衛(市村橘太郎)、小奴三吉(橋之助家の次男・中村宗生。もう大学生だけど、セリフはまだまだかな)の制止もきかず、黒御簾音楽にのってグイグイ。ついに二升樽を呑み干しちゃう。権力に踏みつけられた庶民の、やむにやまれぬ怒りと後悔に、色気が漂う。
二幕目はまず磯部邸玄関先の場。酔った勢いで屋敷に押し入った宗五郎が、家臣・岩上典蔵(中村橋吾)に無礼打ちにされかかるところを、家老・十左衛門(東蔵の長男・中村松江)に救われて切々と思いを吐露。「酔って言うんじゃございませんが」の長ゼリフが聴かせる。笑い方が中村屋らしい。
回り舞台で転換し、庭先の場へ。すっかり酔いがさめて反省する宗五郎に、主計之介(時蔵の次男・中村萬太郎)が手をついて短慮を詫び、すべてを仕掛けた岩上の成敗を約束して幕となりました。

芝居の前に解説があり、大掛かりな回り舞台、セリを見せるところからスタート。萬太郎のしゃべりが、実に巧い。橋吾さんが荒事・景清を、澤村國矢と片岡千次郎が和事の髪結新三を実演。御簾内に隠れている音楽の面々も登場して面白かったです。

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