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四谷怪談

渋谷・コクーン歌舞伎「四谷怪談」  2016年6月

コクーン歌舞伎22年目にあたる第15弾に足を運ぶ。2012年「天日坊」以来だ。演目は第1弾と同じ、鶴屋南北「四谷怪談」の再々演。串田和美演出・美術、演出助手はなんと赤堀雅秋で、スーツ姿のサラリーマンらがのっけから舞台を行きかい、人の愚かさの現代性を強調する。群像劇なので散漫な印象が否めないものの、中村屋兄弟は愛嬌と色気にますます磨きがかかってた。男性客が目立つシアターコクーン、やや上手寄り前のほうのいい席で1万3500円。休憩を挟み3時間。

戯曲は2006年再演の「北番」がベースだとか。お岩(安定の中村扇雀。なんと初役)の惨劇と、伊右衛門(中村獅童)への恨みに加え、かなり脇筋を膨らませてある。
二幕目「深川三角屋敷の場」はお岩の妹・お袖(綺麗な中村七之助)がメーン。按摩宅悦(お馴染み片岡亀蔵)から姉の最期を聞いて、仇討のため陽気な薬売・直助(中村勘九郎)に身を委ねたところへ、死んだはずの夫で義士・与茂七(扇雀が2役)が現れちゃう。自らを責めたお袖は死を選び、さらに直助も、実はお袖が妹で、人違いで手にかけたお袖の父が主人筋だったと知って自害。これでもか、という二重三重の悲しい運命。以前は勘三郎さんが演じたという直助の勘九郎ちゃん、切なさが見事です!
また「小仏小平住居の場」では、お岩と一緒に悲惨な死をとげた小平(中村国生がなかなか達者)の亡霊が、病床の主人・又之丞(首藤康之、踊りません)に妙薬ソウキセイをもたらし、又之丞は無事、義士の列に加わる。

獅童の伊右衛門は色悪というより、短慮で欲をかき、周囲に流されるうちに残忍さの深みにはまっていく、という造形。その伊右衛門の「夢の場」で、天から人が降る終末的光景のなか、梯子から転落しかかるシーンで幕となった。お岩が復讐をとげる「蛇山庵室の場」は省略。
陰惨で、救いのない物語だけど、高家側の伊藤喜兵衛・笹野高史がコミカルに、いいアクセントをつけていた。キンキラ衣装で、お嬢様のお梅(中村鶴松がピュア)を従え、おつきが背を支える「そっくり返り棒」まで登場。

冒頭の浅草観音からずっと、明治以降の現代人が脇役や黒衣を務め、アコーディオンの高橋牧らミュージシャンもどんどんシーンに紛れ込む。またお岩の髪すきの横でお梅が嫁入り化粧をしたり、砂村隠亡堀の場では群集が濁流を表現したり。さらには俳優を乗せた台をスピーディーに動かすとか、セリフを文字でセットに投影するとか、工夫が満載なんだけど、そのぶん、焦点が絞りにくかったかも。
ロビーが縁日風で楽しかった。

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