落語「富士詣り」「鹿政談」「高砂や」「百川」
月例三三独演 2016年5月
気になっていた柳家三三の月例落語会。2005年以来110回を超えているらしい。霞ヶ関の夜景が綺麗なイイノホール、中央あたりで3400円。中入りを挟み約2時間。
適度に小さめのステージに、開幕すぐ三三が登場して、まずは「富士詣り」。長屋の連中が富士講に出掛け、天候が怪しくなったので「五戒」を懺悔しはじめ、オチは「山に酔った」「ちょうど五合目だ」。さらさらとした口調ながら、「六根清浄」の掛け声がリズミカル。
いったん引っ込んだところで遅れたお客さんが席に着き、着替えた三三が「鹿政談」。ちょうど4月の文楽「妹背山」で知ったばかりの、奈良の神鹿殺しの罪がテーマだ。鹿を死なせてしまった正直者の豆腐屋を、名奉行・根岸肥前守(「耳袋」の作者だとか)が「鹿ではない、犬だ」と機転をきかせて救う。もとは講談だそうで、馬鹿馬鹿しくも痛快だ。やりこめられる代官の「犬鹿蝶!」の滑稽さが際立ちます。
10分の休憩後、2ツ目・柳亭市童で「高砂や」。大店の婚礼で仲人をする羽目になった職人・八五郎が、隠居に謡を習い、でだしだけ豆腐売りの真似でなんとかこなすが、という「オウム」パターンだ。市馬さんの弟子とあって節回しはいい。
そして三三がもう1席。熊本地震チャリティーの手拭を案内してからお楽しみ「百川」。談春、喬太郎、一之輔と錚々たる面々で聴いたことがあるけど、三三版も負けずに愉快で、前半2席に比べ、ぐっと弾んだトーンへの切り替えが鮮やかだ。百兵衛の「ひゃっ」とか、クワイのきんとんとかで笑わせる。とはいえ田舎者ぶりがしつこくなく、河岸の若いもん、医者の造形もくっきり。巧いです!
手拭500本に並んだけど残念ながら売り切れ。三三がロビーに出て、謝りながら見送ってくれました。
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