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文楽「絵本太閤記」

第一九五回文楽公演  2016年5月

5月の東京本公演は中堅が担う時代物「絵本太閤記」の半通し。歌舞伎「馬盥」で我慢の光秀を観たばかりだが、ちょうどその続きにあたる、主君を討った後の苦悩がメーン。なかなか複雑な造形です。国立劇場小劇場の中ほど、下手寄りで5900円。休憩を挟み3時間半。

まず本能寺の段は奥が咲甫太夫、宗助。光秀決起の報に、覚悟を決めた尾田春長(幸助さんが重々しく)が、勇ましい阿野の局に孫を託す。兄が光秀側についたため自害しちゃう腰元しのぶと、凛々しい蘭丸の恋が哀しい。

続く妙心寺の段は光秀の苦悩が語られて、起伏がある。奥はリズミカルに呂勢太夫、錦糸。京都の古刹の、龍の襖絵が立派なひと間だ。
母さつき(玉也)は息子の不忠を許せず、ひとり家出してしまい、残された光秀(額に傷のあるかしらで、玉志)は思い余って衝立に辞世の句を書きつけて自害しかかる。しかし家臣・田島頭(玉佳)と息子・十次郎(勘彌さんが凛々しい)に止められて迷いを振り切り、真柴久吉との闘いを決意。将軍任命を受けるため、馬にまたがり決然と宮中へ向かう。

休憩後、いよいよ悲劇の夕顔棚の段。尼ヶ崎にあるさつきのわび住まいで、幕開けは近隣の人々がお経を唱える穏やかなシーン。睦太夫、清友のメリヤスが滑らかだ。初陣の挨拶に来た十次郎の覚悟を察し、さつきは嫁・初菊(一輔が可憐)との祝言を勧める。

大詰め尼ヶ崎の段で、十次郎は戦場へ。光秀が忍んできて、風呂を借りている旅の僧、実は久吉(勘市)を竹槍で襲うが、なんと身代わりとなったさつきを刺してしまう。苦しい息の下から、なお逆賊の非を説く母。おまけに十次郎が瀕死の姿で戻って闘いの劣勢を伝え、退却を促す。光秀は一徹な性格で、我慢の末に暴虐な主君を討ったのに、母、息子を失い、追い詰められていく。ついに号泣する「大落とし」。
藤蔵、清介の三味線が威風堂々、ダイナミックにドラマを盛り上げる。文字久太夫、津駒太夫は熱演だけど、ちょっと迫力不足かなあ。
段切りは一転、動きのある展開となり、セットが横移動して光秀が木の上から敵勢を確認。初菊は尼ヶ崎につながる尼僧の姿に、さらに久吉が格好いい武者の装束になって登場し、光秀と山崎での対決を約束して幕となりました。

開幕前に貴重なバックステージツアーの機会があり、なんと鑑賞教室「曽根崎心中」の大詰めを裏から覗き見ました。緊張した~
ロビーでは熊本・大分地震の募金活動をしていて、大阪に続き清十郎さん、お初と記念撮影。ケネディ米駐日大使も来ていて募金してました!

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