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落語「金明竹」「元犬」「締め込み」「粗忽の使者」「へっつい幽霊」

よってたかって春らくご’16 21世紀スペシャル寄席ONEDAY  2016年4月

恒例の落語会の夜の部。熊本で大きな地震があっただけに、豪華メンバーが少し抑え目に、滑稽な古典をテンポ良く聴かせた。穏やかで充実。有楽町よみうりホール2階最前列で4100円。中入りを挟み2時間。

開口一番は市馬一門の柳亭市丸で「金明竹」。27歳で目鼻立ちがはっきりしている。早口を爽やかに。
本編はまず柳家三三が、花見時分に仕事で行った目黒、上野、王子の雰囲気の差を可笑しく語り、犬の散歩も随分違う、と振ってから「元犬」。俗信で「人間に近い」と言われる白犬が、願掛けで人間になり、隠居の家に奉公する。「焙炉」と聞いてワンワン吠えちゃったり、駄洒落交じりのドタバタの挙句、女中のおもとが実はお母さんというオチ。くだらないんだけど、真っ裸のシロを拾う口入れ屋、奉公人は変人がいいという隠居の善人ぶりが、飄々としていい感じ。巧いです。
続いて三遊亭兼好。気温が上がるとビールが売れるといった豆知識に続けて、「38度を超えると半島は戦争」とピリッとした笑いから「締め込み」。前に三三で聴いた空き巣噺。長屋で戸締りもしないし、喧嘩を泥棒に止められて酒をふるまっちゃう夫婦の大らかさをトントンと。泥棒も人が良くて、酔って寝込んでしまい、「そろそろ寝るか、表から心張りをかけておけ」。メリハリが利いていて、40代とも思えない安定感です。

中入り後は柳亭市馬。うっかりと言えば師匠5代目小さんが、上野に行くはずが池袋で寄席を務めてしまい、それでも客は怒らず、いい時代だった、というマクラから「粗忽の使者」。大工「留っこ」中心に短くしていて、1月の談春ほど爆笑ではないけれど、いつもの少しのんびりした語り口が剽軽で心地いい。歌は無くて残念。
トリは待ってました柳家喬太郎。紫の着物が舞台と似ていて、いきなり「すいません、全体に同系色で」、昼の部から聴いている人がけっこういて、「馬鹿じゃないの…言い過ぎました!」と、さすがのトボケぶり。フランスの民家でカラバッジョ作品発見というニュースを聞き、カルパッチョ?と思った、フランス人も片付けてないんだなあ、案外お宝ってあるものだけど、自分にとっては大師匠の5代目小さんが、勘違いを謝った留守録テープが一番のお宝、といつになくシミジミさせて、「へっつい幽霊」。
談志、談春で聴いて重いイメージがあったけど、そこは喬太郎。軽やかに、かつ人物像はくっきりしている。前段で客が幽霊を怖がるさまと、全く動じない遊び人がいい対比だ。特に勘当された若旦那の頼りなさ、いい加減さが秀逸。へっついに隠してあった金を折半しようという遊び人に、出てきた幽霊が「そんなに持ってくの?(主催の)夢空間?」と叫んで笑わせる。オチは博打好きの幽霊が勝負したがり、「大丈夫、足は出しません」。お見事でした。

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