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アルカディア

シス・カンパニー公演 アルカディア  2016年4月

映画「恋に落ちたシェイクスピア」の脚本などで知られ、ナイトの称号を持つトム・ストッパードの1993初演作。小田島恒志翻訳、栗山民也演出という「海をゆく者」コンビで。
ききしにまさる複雑さで、英国庭園史やらカオス理論やらエントロピーの法則やら、知識をぎっしり詰め込み、おまけに現代と19世紀を行き来しちゃう。随所に笑いがあって洒脱なんだけど、イメージの断片が絡み合って、もう頭がパンク。感動するには難しすぎたかなあ。代表作ながら日本初演というのも、分かる気がする。ミュージカルファンが集まった感じのBunkamuraシアターコクーン、中央いい席で強気の1万1000円。休憩を挟み約3時間。

英国の荘園シドリー・パークの瀟洒な居間という同じ場所で、19世紀と現代のシーンを交互に展開していく。軸になるのは、舞台上には登場しない詩人バイロンと、バイロンばりの色男ふたりだ。19世紀側はバイロンが荘園に逗留中という設定で、飄々とした家庭教師セプティマス(井上芳雄)が、可憐な天才少女トマシナ(趣里)らを翻弄する。
一方の現代側では、野心家の研究者バーナード(堤真一)がバイロンにまつわる新事実を発掘して、名を上げようと躍起。荘園の庵にいた「隠遁者」について調べている作家ハンナ(寺島しのぶ)らと、激論を戦わす。

果たして隠遁者とは?バイロンの放浪の真相は明らかになるのか?という謎解きで引っ張りつつ、今も昔も人は、間違っても後戻りできない、でも、だからこそ青春の切ない恋心が輝きを放つ、ということを描いていく。19世紀と現代の登場人物が次第に重なっていく趣向が面白い。時代を超えて視線があう何とも言えない繊細さ、同じワルツで踊るダンスの美しさ。
アルカディアとは理想郷のことだけど、17世紀の絵画には「どんな理想郷にも死は存在する」と描いているのだとか。深いです。

登場人物が多くて、観ていて焦点が絞りにくかったけど、キャストでは19世紀側の趣里ちゃんが、可愛く、はきはきして光ってた。水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘さんですね。楽しみ~ 井上、伯爵夫人の神野三鈴も安定感。
現代側では寺島が落ち着いていて良かった。この人、実はマニッシュな雰囲気のほうが似合うかも。ほかに迫田孝也、山中崇、浦井健治ら。

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