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歌舞伎「双蝶々曲輪日記」「口上」「祇園祭礼信仰記」「関三奴」

五代目中村雀右衛門襲名披露 三月大歌舞伎 夜の部  2016年3月

春めいてきた週末。7代目松本幸四郎に連なる系譜であり、名女形だった亡父の名跡4年ぶりの復活とあって、幹部勢ぞろいの雀右衛門襲名公演に足を運んだ。評論家や、お着物の男女が大勢集まって、掛け声が多く、紅白牡丹の祝い幕も華やかな歌舞伎座。前のほう中央のいい席で19000円。休憩3回を挟んで4時間。

幕開けは「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」から角力場。文楽で観たことがある、浪速の人気力士の達引シーンで、菊之助が相変わらず声がよく通って大活躍だ。前半は山崎屋与五郎を演じ、上方和事の「つっころばし」=鷹揚な若旦那がいい味。贔屓の力士・濡髪長五郎(けっこう野太い橋之助)を褒められると、嬉しくて誰にでもどんどん持ち物をあげちゃう。
後半は早替りで一転、丁稚上がりで気の強い素人角力の放駒長吉に。どっしりと風格ある濡髪に対抗して、少しでも背を高く見せようとしたり、茶碗を手で潰せずこっそり刀に打ち付けたり、という対照が面白く、動きもきびきび。遊女・吾妻(高麗蔵)の身請け話と、取り組みの裏をめぐって義理と意地がぶつかり合い、格好良く見得が決まりました。

長めの休憩後、お楽しみの「口上」。菊五郎さんの病気休演が残念だけど、84歳の大御所・藤十郎の紹介に続き、仁左衛門、秀太郎、歌六、扇雀、又五郎、魁春、梅玉、吉右衛門、東蔵、鴈治郎、橋之助、時蔵、松緑、兄の友右衛門、幸四郎がずらり。81歳の我當さんも後見に支えられて何とか。古風で控えめな当代に、ちょっと注文も出てました。

客席でお弁当をつつき、襲名披露の「祇園祭礼信仰記」から金閣寺へ。こちらも文楽で2回観たことがあり、見どころ満載のなかでも今回は、新雀右衛門が「三姫」のひとつ雪姫を演じるのが眼目だ。浄瑠璃をバックに歌舞伎らしくド派手。
前半は碁立。国崩し・松永大膳(実悪がいかにもな幸四郎)が立てこもる金閣寺に、此下東吉、実は真柴久吉(颯爽と仁左衛門)が乗り込んで碁を打つ。生締のニザ様がノリ地の台詞を聞かせ、よく動いて井戸から碁笥を拾い上げる。
そして「爪先鼠」だ。まずどしゃどしゃ桜の花が降るのにびっくり。これは大道具さんに気を配った先代の名残だとか。
そして縛られた雪姫が、舞台中央で踊りながら鼠を描く。文楽の方が、不自由な感じが強く色気があるかなあ。今回は歌右衛門型で、人形振の雀右衛門型もあるそうです。花道で刀に顔を映し、髪を直して引っ込む。ちょっと地味だけど、大人の女の造形。
やがて大ゼリを使い、金ぴか陣羽織のニザ様が木を登って慶寿院尼(藤十郎)を救出。大膳とにらみ合う格好いいシーンで幕となりました。2人とも70代とは思えません! ほかに「舞台を横切るだけ」の夫・直信に梅玉、大膳の弟・鬼藤太に錦之助、潜入していた軍平、実は佐藤正清に歌六、久吉家臣に歌昇、萬太郎(時蔵の次男)、種之助、米吉(歌六の長男)…と豪華。

追出しは長唄の舞踊「関三奴(せきさんやっこ)」を3人バージョンで。日本橋をたつ参勤交代行列で、先頭を務める奴3人が登場。毛槍を振って元気に、花魁道中の真似や足拍子を見せる。でっぷり鴈次郎、コミカルな濃い化粧の松緑に比べると、勘九郎が動きが良く、愛嬌もあっていい。

売店では襲名ゆかりの日本酒の販売や、雪姫の人形の展示なども。盛りだくさんでした~

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