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乱鶯

2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK「乱鶯」  2016年3月

「ラストフラワーズ」以来久々で、いのうえひでのり演出の新感線。チャンバラエンタメに徹する構えは変わらないけど、倉持裕の脚本が正調・白浪物で、安定感がある。まさに演舞場というべきか。
プログラムによると、タイトルの「黒」とは「ガキっぽい劇団が、ちょっと大人になってみた」といった意味だそうです。なるほど。幅広い客層が入った演舞場の、中央あたりで1万3000円。35分の休憩を挟んで4時間弱。

タイトルの乱鶯(みだれうぐいす、正式にはらんおう)は季節を超えても鳴く鶯のことだとか。主演の古田新太に焦点を絞って、時代遅れの義理を通すひとりの男を、ひたすら格好良く見せる。
時は天明のころ。義賊・鶯の十三郎(古田)は与力・黒部(いかにもな大谷亮介)に追われて重傷を負うが、通りがかりの目付・小橋貞右衛門(山本享)と浅草寺裏で居酒屋を営む勘助(粟根まこと)、お加代(しなやかに稲森いずみ)に救われ、足を洗う。板前となった7年後に、貞右衛門の息子で御先手組組頭・勝之助(大東駿介)と邂逅。ちょうど残忍な火縄の砂吉(橋本じゅん)から押込の手引きに誘われ、勝之助に手柄をたてさせようと日本橋の大店・丹下屋への潜入を決意する。ところが勝之助がついてきちゃって巻き起こるドタバタ、十三郎とお加代、勝之助と下女おりつ(清水くるみ)それぞれの淡い恋、砂吉一味との死闘、そして本当の悪党の正体とは…。

昨年の「ツインズ」でも存在感たっぷりだった古田が、喋りまくり、見得を切りまくって色気がある。ちょっと噛んじゃってもチャーミングです。いかにもな化粧が、さすがに濃すぎるけどね。
「カッコーの巣の上で」のビリーが繊細だった大東は、今回は一本気ながら素っ頓狂な若侍。笑いを達者にこなし、切なさもあって拍手! ほかにしっかり者の丹下屋女将に、お馴染み高田聖子。
倉持脚本は「豆腐百珍」の雷豆腐や回向院の勧進相撲といった、時代劇ならではの知識を散りばめていて知的だ。さらに江戸のファストフードとか盗み細工とかの道具立てが、実は緻密な伏線になっている。笑いは多いけど全体に上品なぶん、パンチは弱めか。
演出は回り舞台のシーン転換が滑らかで、雨や月を照明で表現。特に、決闘シーンの美しい花火の映像が、想像をかきたてる幕切れと相まって巧い。効果音満載の殺陣は残忍なだけに、もう少し短くと思うけど、それだと常連客には物足りないのかな。

幕間のBGMが演目に合わせ、往年の時代劇ミュージックで雰囲気をつくってた。客席には中丸新将さんらしき姿も。ロビーでオリジナルのお饅頭やお弁当を売っていて、芝居見物って感じ。

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