« 落語「牛ほめ」「大どこの犬」「らくだ」 | トップページ | 文楽「義経千本桜」 »

夫婦

ハイバイ「夫婦」  2016年2月

岩井秀人作・演出の劇団ハイバイ公演。2014年の「おとこたち」からまた、「自分」に焦点が絞られた感じか。若者が通路までぎっしりの、東京芸術劇場シアターイースト。後ろの方だけど見やすい、下手寄りの席で3500円。休憩無しの約2時間。

妻子に無茶な理屈を並べ立て、暴力を振るう横暴な父が、とにかく強烈。母とは長く不仲だったが、年老い、病を得て、関係が変化していく。家族という重荷からの逃げ場のなさ、長い時間をかけてたどり着く和解というものを、自在に時を行き来しつつ、じっくりと描く。

80歳だった実父の死を題材にしたという。外科医でありながら、医療過誤のようなかたちで人生を閉じる皮肉。いつもながら向田邦子を思わせる、半径3メートルの出来事の羅列なんだけど、笑いも多く、決して息苦しくない。BSテレビの契約が、引きこもり脱出の契機になるといった、エピソードがいちいちリアルだ。

装置は不揃いな椅子、テーブルを一見、無作為に並べただけ(美術は秋山光洋)。天井から静かに照明があたり、背後のスクリーンに時折、心象風景のような静止画。その間を縫うように歩いたり、登ったりしながら、冷え冷えした家や病室を表現する。シンプルだけに、大詰めで父の顔を映し出すカメラの使い方が意表をつく。

配役にひとひねりあり、なんと重要な母役は山内圭哉。スキンヘッドにカツラ、終始おどおどしていて怪演だ。その母より小柄なのに、怒鳴りだすと手が付けられない猪股俊明の父も、かなり不気味。ずっと舞台上にいて自らの過去を見つめ、解説する岩井本人役は菅原永二で、淡々とした語りがいい。
ほかに過去の岩井(小岩井)の田村健太郎、姉の鄭亜美、兄・平原テツらがいい呼吸だ。岩井は葬儀屋などで登場。

« 落語「牛ほめ」「大どこの犬」「らくだ」 | トップページ | 文楽「義経千本桜」 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 夫婦:

« 落語「牛ほめ」「大どこの犬」「らくだ」 | トップページ | 文楽「義経千本桜」 »