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「夜、さよなら」「夜が明けないまま、朝」「Kと真夜中のほとりで」

マームとジプシー「夜、さよなら」「夜が明けないまま、朝」「Kと真夜中のほとりで」  2016年2月

昨年の「COCOON」再演が鮮烈だった藤田貴大の作・演出。蜷川幸雄をテーマに、競作も予定していた「蜷の綿」が延期となり、急遽、過去作を再構築して上演。若者が個人的体験をずうっと考え続け、やがて町を出て行こう、と決意する。お馴染みの「女子」満載・藤田節の原型を観る感じだ。彩の国さいたま芸術劇場小ホール。自由席で、ステージ3方を囲んだ上手寄り上の方、3800円。休憩無しの約2時間。

3作は同じ、故郷の町で過ごす若い男女の、ある眠れない1夜を描いている。10年前に行方不明となったひとりの少女のことを、兄(切なく尾野島慎太朗)や級友たち(成田亜佑美、吉田聡子ら)がそれぞれに思い出し、独特のダンスや組体操にのせて、繰り返し繰り返し語る。1985年生まれの藤田が20代に書いた作品で、初演は2006年、2009年、2011年だそうだ。
寂しい街頭といったわずかな映像と、ベンチ、ちゃぶ台などのシンプルなセットだけで、静かな黒いステージに夜の深さが漂う。俳優の衣装も黒ずくめ(ステージでの着替えも)。遠くを走っていく列車の明かりや、ラストの倒した壁に映し出される宿命の水面が、喪失感をかきたてて、ぐっとくる。照明が細やかだ。

感傷過多は織り込み済みとしても、終盤のリフレインは、意図的なんだろうけど、さすがに長くてちょっと辟易。しかし大詰め、湖のほとりに集まった仲間たちの前で、ついに白んでいく空と、深い悔恨を胸にしまい、幼い子の手をひいて旅立つ「さえ」が、明日を予感させる。

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