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「江戸花成田面影」「元禄忠臣蔵」「勧進帳」「河内山」

松竹創業百二十周年 吉例顔見世大歌舞伎 夜の部 2015年11月

十一世市川團十郎五十年祭と銘打ち、全力で成田屋を盛り立てる舞台。海老蔵が持ち前の華を発揮し、また幹部揃いのなかでも梅玉さんが大活躍だ。本編3作は新歌舞伎、荒事、黙阿弥ものと作風はそれぞれ全く違うけど、共通して「対決」という演劇的な見どころがあって、飽きなかった。団体客で大入の歌舞伎座、前寄り中央のいい席で1万8000円。休憩3回を挟み4時間半。

開幕はなんと、2歳の海老蔵長男・堀越勧玄初お目見得のためだけに構成された「江戸花成田面影」。深川での成田不動出開帳という設定で、長唄をバックに鳶頭の梅玉、染五郎、松緑が、手獅子を持ったりしてめでたく踊る。仁左衛門、菊五郎の豪華前フリで、いつものまさかり頭の海老蔵が勧玄ちゃんの手を引いて登場。中央で挨拶し、藤十郎が手締め。贅沢ですねえ。

短い休憩の後、まず写実的な真山青果作「元禄忠臣蔵」から「仙石屋敷」。2008年に吉右衛門で「大石最後の一日」を観たけど、この幕は初めて。討ち入り直後の取り調べシーンで、地味なんだけど、仁左衛門の大石内蔵助が絶品だ。世間を騒がせたことをわきまえつつ、討ち入りの正統性を切々と訴え、そして脱落した仲間を思い、「それが人間」と涙する。理と情。一方、義士に共感しながらも、大目付の役目を果たす仙石伯耆守の梅玉も、悠然としていい。
主税を仁左衛門の孫・千之助が演じるのも話題だ。本格的な役はほぼ初ということで、セリフはかなりハラハラしたけど、主税と同じ15歳とあって、未熟さがむしろ説得力につながり、好感が持てる。間十次郎の松江(東蔵の長男)が格好よかった。

夕食の後は「勧進帳」。お馴染み弁慶・幸四郎に対し、ちょうど1年前の初弁慶も観た染五郎が、富樫を立派に。ただ、義経の松緑がどうも落ち着かないのは何故かなあ。太刀持は松緑の息子の左近と、七世幸四郎の血が脈々と。

10分休憩を挟んで、いよいよ河竹黙阿弥作の生世話もの「天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな) 」の前半「河内山」。小悪党で、権威をものともしない御数寄屋坊主・河内山を、海老蔵が初役で演じて痛快だ。
まず松江邸広間の場で、トンデモ大名・松江出雲守(梅玉)が腰元・浪路(梅玉の部屋子・梅丸が可愛い)と忠臣・数馬(海老蔵の門弟・九團次)を苛めちゃう様子を描く。家老・高木に左團次。
続く書院の場で、カネ目当てに浪路救出を狙う河内山が、寛永寺の使僧に化けて登場。わざとらしく気取ったセリフ回し、出雲守を追い詰めていく小ずるい詐欺師の手腕、そして金子を改めようとして時計の音に驚くさまの、コミカルなチャーミングさ。大詰め、玄関先の場では赤っ面・北村大膳(市蔵)に見破られて正体を現し、七五調の名台詞で啖呵を切る。今回は仁左衛門さんに習ったとか。海老蔵の持ち味は軽くて、反骨とか屈折とかは物足りないんだけど、やっぱり格好いい。
後で十一世の映像を観たら、凄く似ていてびっくりしました。祖父も父も決して恵まれた境遇ではないけど、才能プラス努力の人だったんですね。海老蔵もガンバレ!

ロビーにはご贔屓を迎える海老蔵の母・季実子さんの姿も。歌舞伎座の正面には櫓があがり、地下のショップの飾りつけはもうクリスマスツリーでした~

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