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METライブビューイング「イル・トロヴァトーレ」

METライブビューイング2015-16第1作「イル・トロヴァトーレ」  2015年11月

10月3日上演の新シーズン幕開けは、ヴェルディのドロドロ人間ドラマ。命がけの恋、嫉妬、決闘、呪いと、やたら熱量の高い名アリアや重唱、合唱が目白押しだ。
5年連続オープニングを担う女王アンナ・ネトレプコをはじめ、主要キャストが存分に美声とスターオーラを発揮する。ただでさえ盛り上がるところへきて、ハンサムバリトンのディミトリ・ホヴォロストフスキーが脳腫瘍を克服しての登板とあって、出てきただけで拍手が鳴りやまない異常テンション。バックステージを含めて感動的だなあ。
2011年に観たライブビューイングと同じ、メリハリの効いたマルコ・アルミリアートの指揮、そしてデイヴィッド・マクヴィカーの回り舞台を使った演劇的ステージング。よく入った新宿ピカデリーで3600円、休憩1回を挟んで3時間強。

レオノーラのネトレプコは、1幕「穏やかな夜」あたりは甘く美しく、しかし4幕「恋はばら色の翼にのって」では恋人マンリーコを救ってみせる、という強さが前面に出て、格好いい。横恋慕するルーナ伯爵のホヴォ様は、登場シーンこそ、あまりの客席の熱狂ににやけてけど、その後は暗い情熱で押しまくる。2幕「君が微笑み」の切ないこと。対峙するマンリーコは韓国のヨンフン・リーで、ライブビューイング初登場だ。2011年来日公演の「ドン・カルロ」でカウフマンの代役だっただけに、感慨深い。声に張りがあって、3幕「見よ恐ろしき炎」のハイCも危なげないんだけど、テノールらしい華が欲しいかな。
マンリーコの母・アズチェーナは極め付け、20年以上もこの役を歌っているというドローラ・ザジックで、人間国宝と呼びたい造形。騎士フェルランドのステファン・コツァンは2013年の「リゴレット」でも観たスロヴァキアのバスで、すらっとして色気がある。

お楽しみ幕間では、ライブビューング10周年とあってアンナ・ネトレプコの名場面集が流れ、大物への階段を上がってきたさまがくっきり。インタビューでは可愛い坊ちゃんが場をさらってたけど。司会のスーザン・グラハムがちょっと皮肉っぽく、「子どもと動物には勝てない」風なことを呟いちゃってて可笑しかった。次作「オテロ」のソニア・ヨンチェーヴァも綺麗。
そして何といってもカーテンコールが素敵だった。キャストがホヴォ様を中央に押し出し、オケが一斉に花を投げるサプライズ! ホヴォ様はその花を女性陣に捧げちゃうし。つくづく色男ですねぇ。

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