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ヴェローナの二紳士

彩の国シェイクスピア・シリーズ第31弾「ヴェローナの二紳士」  2015年10月

満80歳・蜷川幸雄演出の残り6作というシェイクスピアシリーズ。若い俳優たちが頑張るオールメール版とあって、女性客が圧倒的な彩の国さいたま芸術劇場大ホール。距離があるのと、手すりのせいで見づらい2階最前列上手寄り9000円。休憩を挟んで2時間半。

シェイクスピア初期の喜劇ということで、お話は能天気な恋のドタバタだ。ミラノで修業中の若者プローティアス(三浦涼介)が、こともあろうに親友ヴァレンタイン(高橋光臣)の恋人シルヴィア(月川悠貴)に横恋慕。心配した恋人ジュリア(溝端淳平)が、故郷ヴェローナから男装して追ってくる。
駄洒落満載の松岡和子訳は、昨年の「ロミオとジュリエット」と違って笑いが多く、さらに舞台はごくシンプルで、鏡の前に市場の屋台やシャンデリア、森の木を出し入れするくらい。いきおい推進力は俳優陣にかかってくる。

というわけで、若者4人がロマンチックな衣装で奮闘。視線を合わせようとするギャグなどが効いている。メーンの溝端君は声を作らず、仕草で一途な女を表現して立派だ。相手役の三浦君も、2重の裏切りの末にころっと反省しちゃう難しい役どころを、よくこなす。ただ、この2人は色気が今ひとつかな~。親友を許す高橋君が、よく通る声で、やや一本調子ながら存在感があったかも。月川君はもう、オールメールの女王と呼びたい貫禄ですね。
脇役陣が巧くて、プローティアスの父とシルビアの父・ミラノ大公の横田栄司が、2役の演じ分けはもちろん、コメディセンスも見事。ピエロ風の従者たち、小名僕蔵と大石継太もさすがのボケぶりだ。一時もじっとしてないワンちゃんが可愛かったな。チェロ、ギター、マンドリンの生演奏入り。

ホール外では蜷川作品のポスター展や、和楽器オーケストラあいおいのシアターライブが楽しませてくれました。

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