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英国ロイヤルオペラ「マクベス」

英国ロイヤル・オペラ「マクベス」  2015年9月

5年ぶりとなったロイヤル・オペラの引っ越し公演。前回は主演歌手の降板が相次いで散々だったけど、今回は小柄な音楽監督、サー・アントニオ・パッパーノの指揮のもと、安定感抜群で、音楽であると同時に、演劇であるという英国らしさを満喫した。
1演目めはヴェルディのドラマチックなシェイクスピア悲劇「マクベス」。東京文化会館大ホール、やや下手寄りのいい席で5万5000円。25分の休憩を挟み、約3時間。

演技派スター、サイモン・キーンリサイド(英国のバリトン)が、自らの悪事にからめとられていくタイトロールの苦悩を、丁寧に表現。辞世のモノローグ「やみくもに地獄の予言を信じたのだから」までを抑制気味に仕上げる。一方、難役レディ・マクベスのリュドミラ・モナスティルスカ(ウクライナのソプラノ)は、寝転がりながらの「地獄の使者よ、目覚めなさい」や「日の光が薄らいで」などを、やや絶叫調に飛ばし、迫力満点。METのライブビューイングで観たネトレプコが強烈過ぎたせいか、やや色気不足と思ったけど、夢遊病の場で細い高音をコントロールして、存在感を発揮していた。
終盤、マクベスを倒す若い敵将マクダフのテオドール・イリンカイ(ルーマニアのやや若手テノール)が、「ああ、父の手は」で見事に輝きを放ち、拍手喝采。早々に裏切られちゃう友人バンクォーにライモンド・アチェト(米国のバス)、ダンカン王の遺児マルコムにサミュエル・サッカー(オーストラリアのテノール)。スコットランド難民の哀しい「虐げられた祖国よ」など、合唱も分厚い。

ミュージカル「マンマ・ミーア!」や映画「マーガレット・サッチャー」を手掛けた女流フィリダ・ロイドの演出は、照明、衣装とも暗く、スモークたっぷりで視界不良。玉座などを表す、回転する金の格子が、呪われた檻のようで、強い印象を残す。
魔女たちがマクベスに王冠を渡したり、バンクォーの幼い息子を井戸から逃がしたりして、すべての運命を差配。つながった太い眉と、大きな赤い帽子がちょっとコミカルなだけに残酷だ。再演監督はカナダ出身のダニエル・ドナー。

1F後方から歌舞伎みたいな掛け声(たぶん英語)が盛んにかかっていて、珍しいなあと思ったけど、後半はたしなめられたのか、大人しくなってた。ロビーには著名経済学者や林真理子さんの姿も。

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