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NEWシネマ歌舞伎「三人吉三」

NEWシネマ歌舞伎「三人吉三」  2015年7月

シネマ歌舞伎10周年に、坂東新悟と中村鶴松トークイベント付きの上映会に参加してみた。東劇で3000円。
本編は黙阿弥の白浪ものを串田和美が演出、2014年にシアターコクーンで上演した舞台。とはいえ串田自身が新たな撮影、録音、編集を加えて3時間半以上の上演を2時間15分にまとめたということで、舞台中継というよりスローモーションなども多用した映像作品の印象だ。

三人吉三といえば大川端の名乗りが有名だけど、今回は発端から。冒頭は伝吉(笹野高史)が、安森家から名刀・庚申丸を盗み、犬に吠えられて川に落とすシーンだ。宙を舞う刀が幻想的。庚申生まれは盗賊になるという言い伝えにちなんだ名なんですね~
その後、金貸し・太郎右衛門(大森博史)、研ぎ師・与九兵衛(片岡亀蔵)らがコミカルに、また八百屋の息子・十三郎(坂東新悟)、夜鷹おとせ(中村鶴松)が運命的な恋とともに、刀と代金の百両が手から手へと変転していくさまを描く。

続いて名場面・大川端庚申塚の場。2010年に菊五郎、吉右衛門、団十郎という大顔合わせで観たのが懐かしい! 派手な振袖姿のお嬢吉三(元の名はお七、中村七之助)が、おとせから百両を巻き上げ、独特の声で啖呵を切る(節分の厄払い)。2枚目浪人のお坊吉三(尾上松也)と争うところへ、坊主頭でひときわ伝法な和尚吉三(中村勘九郎)が止めに入る。偶然にも同じ名を持つ3人が、義兄弟の契りをかわし、悪党揃い踏みの華やかな見得。こってり白塗りの松也が、なかなか色っぽい。
和尚は殊勝にも父・伝吉に百両を渡すものの、お坊がお竹蔵で金を奪い、伝吉を斬る。実はお坊は伝吉のせいで断絶した安森家の子息であり、巡る因果としかいいようがない。「とった、とった」とささやく笹野が、2008年に観た「夏祭」を思わせて熱演。
そして和尚が潜む荒れ寺・巣鴨吉祥院に、妹おとせと十三郎が訪ねてくる。この夫婦は幼いとき別れた双子であり、畜生道に落ちたとして、なんと和尚は2人の首をはねちゃって、お嬢とお坊の身代わりにしようとする。すべてを見ている仏像、冒頭からつながる犬のイメージも相まって、なんともドロドロ、陰惨なシーンだけど、勘九郎が鬼気迫る形相で圧倒する。無茶な展開にも哀しさが漂うのが、この人の持ち味だなあ。

大詰めはお約束、怒涛の立ち回りだ。木戸を開けて捕われた和尚を救うべく、お嬢が本郷・火の見櫓に登って太鼓を打ち鳴らす姿が美しい。もともとヒット作・八百屋お七と寺小姓・吉三郎がモチーフの作品だということに得心。
あとはもう、主役3人が汗だくで疾走しまくる。舞台上の人物が見えないほど、どっかどっか降る雪。客席も前の方は真っ白だ。観念した3人が刺し違えて幕。盗賊だから当然、破滅しちゃうんだけど、暗いながらもカタルシスがあるのが、串田演出らしい。

上演前に会議室で開かれたトークショーは、話はそこそこ、じゃんけんプレゼントなんかがあって、ファンミーティングみたいでした。女形がメーンだけど長身の新悟(中村座常連の坂東弥十郎の息子)が、小柄な鶴松を盛んにからかう。おちゃめ鶴松はかなりの人気で、阿古屋の話題も振られてましたね。

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