« TOSHINOBU KUBOTA 2015 | トップページ | カウフマン「ケルナーの12の詩」「詩人の恋」「マティルデ・ヴェーゼンドンクによる5つの詩」「ペトラルカの3つのソネット」 »

METライブビューイング「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」

METライブビューイング2014-15第10作「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」  2015年5月

今シーズンのライブビューイング締めくくりは、ちょっと渋いダブルビル。マスカーニとレオンカヴァッロによるヴェリズモの嚆矢、通称「カヴァ&パリ」だ。「アンナ・ボレーナ」などのディヴィッド・マクヴィカーの新演出、ファオビオ・ルイージ指揮で。4月25日の上演、休憩を挟んで約3時間20分。東劇で3600円。

事前に映画「ゴッドファーザーpart3」 「アンタッチャブル」で使われた名曲「間奏曲」「衣装を着けろ」が登場すると聞き、期待が高まる。実際、評判通りの激情あふれる音楽と、2作続けて主役トゥリッドゥ、カニオを歌い切ったマルセロ・アルヴァレス(アルゼンチンのラテン系テノール)のパワーに脱帽した。

物語は2作とも、痴話喧嘩が招く流血の悲劇だ。言ってしまえば身も蓋もない3面記事的事件は生々しく、全く格好良くないのだけれど、だからこそいつの時代も変わらない男と女の愚かさを感じさせるのでしょう。
まず「カヴェレリア」は、1990年代のシチリア。恋人で酒場の息子のトゥリッドゥがコケティッシュな人妻と浮気していることに、嫉妬の針が振り切れたサントゥッツァ(エヴァ=マリア・ヴェストブルック、オランダの重厚ソプラノ)が、浮気相手の夫アルフィオ(ルチッチの代役でジョージ・ギャグニッザ、グルジアのバリトンが無骨な馬車屋を表現)にすべてをぶちまけてしまい、果し合いへとなだれ込む。決して嫌いになったわけじゃないのに、トゥリッドゥってホントに馬鹿だなあ。モノトーンで統一されたシンプルな回り舞台と、4角関係をじっと目撃する村人たちの閉塞感が重苦しい。

続く「道化師」は1948年の、同じシチリアという設定だが、雰囲気は一転。思い切り下世話な旅芝居一座が舞台となり、馬やパントマイマーが登場したり、劇中劇コンメディア・デラルテが極彩色かつコミカルだったり、賑やかだ。若い花形女優ネッダ(米国のソプラノ、パトリシア・ラセットが情熱たっぷり、網タイツ姿で舞台を制圧)と村の若者シルヴィオ(ルーカス・ミーチャム、長身のバリトン)の浮気を知って、深く傷ついた年配の座長カニオが、芝居しながら次第に現実と区別がつかなくなっていき、ついに凶行に及ぶ。口上を述べ、悲劇の引き金をひく座員トニオで、こちらも2作連投のギャグニッザが達者です。

案内役はスーザン・グラハム。終わってみれば今シーズンは10作中6作と、けっこう鑑賞したな~ ネトレプコの「マクベス」「イオランタ」が格好良く、演目の珍しさも含めると「湖上の美人」が圧巻だったかな。

« TOSHINOBU KUBOTA 2015 | トップページ | カウフマン「ケルナーの12の詩」「詩人の恋」「マティルデ・ヴェーゼンドンクによる5つの詩」「ペトラルカの3つのソネット」 »

オペラ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« TOSHINOBU KUBOTA 2015 | トップページ | カウフマン「ケルナーの12の詩」「詩人の恋」「マティルデ・ヴェーゼンドンクによる5つの詩」「ペトラルカの3つのソネット」 »