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講談「名月若松城」「次郎長と伯山」「鋳掛松」「横谷宗珉」

日本橋亭 講談夜席 2015年5月

昨年真打に昇進した神田春陽が、定席でトリをつとめる夜席に、1席目の途中から滑り込んだ。お馴染みが集まった感じのお江戸日本橋亭、自由席で1800円。中入りをはさみ2時間45分。

2席目は神田山緑で「名月若松城」。戦国武将・蒲生氏郷は、岩石城で西村権四郎に救われたことをなかなか認めない。西村も主君をたてちゃえばいいものを、真実をまげず、とうとう会津若松の城中で相撲をとって投げ飛ばしてしまう。どこか稚気が漂う主従の物語を、はきはきと。
続いてベテラン一龍斎貞心で「次郎長と伯山」。ずばり、明治期に八町荒らしと呼ばれた伝説の講談師の人情話だけに、爽やかだ。次郎長と交流があり、その伝記を提供したのに、落ちぶれて熱海にいた松廼家京伝を、次郎長伝で人気を博した伯山が支援する。感謝した京伝は、やがて幽霊となって伯山の高座に客を呼んだという。巻き舌で気風のいい伯山の造形が、いかにも講談らしい。

短い中入り後は、お待ちかね宝井琴調さん。差し入れの泡盛でいい気分、と言いながら、調子よく「鋳掛松」。ラストにちょっともたついたけど、絶品です。
お話は堺利彦が大正期に書いたといい、格差の不条理を描く社会派講談だ。時は天保年間、鋳掛屋の息子・松五郎は頭が働き過ぎて、奉公先から戻されちゃうほど。そんな才能あふれる若者が、ある夏の日、両国橋の上からどこぞの若旦那が贅沢に遊ぶ船を眺めて、この世の不公平に思い至り、ぱあっと商売道具を川へ投げ捨てる。フランス映画のワンシーンみたいに鮮やかだなあ。その後、鋳掛松は盗賊になって破滅。黙阿弥が白波ものにしているそうです。

トリは待ってました春陽さん。体調不良から復活してラーメンを食べたこと、先日の成田山の巨大牛蒡のことなど、つらつらと話してから「橫谷宗珉」。
腰元彫(刀剣装飾の彫金)職人・
宗三郎は、師匠の橫谷宗珉に破門され、紀州に流れ着く。旅籠の主人の眼力に感服、居ついて仕事を始め、殿様から注文を受けるまでになったが、酒を呑んでばかり。しかし、ついに主人の忠告をいれ、滝に打たれて素晴らしい作品を彫り上げる。
後の名人・
一龍斎橫谷宗珉の若き日というわけで、芸術がテーマだけに味わい深く、テンポもいい。ちょっと落語っぽかったかな。初代の宗珉は英一蝶と交流があったり、落語「金明竹」に出てきたりするそうです。面白かった!


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