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METライブビューイング「湖上の美人」

METライブビューイング2014-15第9作「湖上の美人」  2015年4月

いやー、スクリーンとはいえ堪能しました。ここ数年、世界的ブームだというロッシーニ円熟期の作品を、METが初演(上演は3月14日)。当代一流のスターが、登場いきなり装飾音符満載、超絶技巧のベルカントを次々に披露して素晴らしい。まさに声の饗宴です。年配のファンでほぼ満席の新宿ピカデリー、いつもの最後列で3600円。休憩を挟み3時間20分。

お話は16世紀スコットランド、カトリン湖を舞台にしたロマンティックな騎士物語だ。ハイランド反乱軍ダグラス(米国期待の新星バス、オレン・グラドゥス)の美しい娘エレナ(お馴染みカンザス生まれのメゾ、ジョイス・ディドナート)を巡り、身分を隠して近づいた国王ジャコモ5世(待ってましたファン・ディエゴ・フローレス)と、父の盟友である婚約者ロドリーゴ(アイオワ出身のテノール、ジョン・オズボーン)、そして真実の恋人マルコム(イタリアのメゾ、ダニエラ・バルチェッローナ)が競う。

イタリアの有望株ミケーレ・マリオッティの若々しい指揮で、全編明るい旋律が弾む。道具立ては戦いの高揚、勝利の褒美としての女、やたらに飲む酒と、まるっきり任侠映画だけど、決して「チェネレントラ」や「オリー伯爵」のような単純・お気楽路線ではない。ピュアなエレナが命がけで、敵対する勢力に和平を訴える。勝者である王はそれに応えて叛徒ダグラスを赦し、エレナと恋敵マルコムを祝福しちゃう感動の幕切れだ。1幕ラスト「星よきたれ」などの合唱も重厚で、1819年初演、ロマン派の先駆けという解説がうなづける。

歌手陣がとにかく粒ぞろい。なかでもやっぱり100年にひとりのロッシーニテノール、フローレスが一頭地抜けた輝かしさだ。休養十分の2幕冒頭、「おお甘き炎よ」が分厚くて圧巻。対峙する恋敵オズボーンにも色気があり、1幕のアリア、そして2幕フローレスとのハイC対決でも、全く気負いがなくてお見事。
もちろんヒロインのディドナートは、第一声からフィナーレ「胸の思いは満ち溢れ」まで、ドラマティックで自信満々に舞台を牽引する。さらに堂々たるズボン役(スコットランドだからスカート着用だけど)のバルチェッローナが、憂いをたたえた「エレナ君を呼ぶ」「ああ死なせてくれ」などで拍手喝采。ドリームチームだけに2重唱、3重唱もたっぷり聴かせます。幕間のインタビューのコメントに、それぞれ含蓄があるのも楽しい。

演出はスコットランド生まれのポール・カラン。空や雲の映像が幻想的で、大詰め王宮の金ぴか衣装と王座が鮮やかだったけど、ちょっと照明が暗かったかな。
幕間の案内役はパトリシア・ラセット。ゲルブ総裁と来シーズンの演目を紹介してた。

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