三人会「転失気」「金満家族」「文違い」「竹の水仙」
喬太郎 三三 桃太郎 三人会 2015年4月
高水準の顔合わせの落語会に足を運んだ。日本橋公会堂(日本橋劇場)の中央あたりで3500円。中入りを挟んで2時間弱。
前座は昔昔亭喜太郎で、お馴染みの馬鹿馬鹿しい「転失気」。
続いて師匠の昔昔亭桃太郎。兄弟弟子の春風亭昇太を結婚させなくちゃ、自分が図書館通いと、浮気するようになったのは妻のおかげ、昇太は二つ目の頃もてた、長嶋や王は早く奥さんを亡くしている…など、とりとめないマクラから、2年前にも聴いた「金満家族」。変わらず飄々と。
2席目は柳家三三で、女性ファンに話しかけられたら一之輔ファンだった、などと、さらっと語って「文違い」。内藤新宿の遊女が馴染み客に、手切れ金だとか親が病気だとか適当な嘘をついて金をせしめ、病気の恋人に貢ぐ。ところが恋人は別の女に貢いでいて、互いに落とした手紙から事情を知った遊女と馴染み客が喧嘩になる。騙し騙され、どっちもどっちのシニカルな廓噺。下手をすると不快になりそうだけど、淡々と演じていて巧いなあ。
最後は柳家喬太郎。4月の新潟の落語会(虹色寄席)は2会場でひとり3席もやる、楽屋のカレーが美味しい、共演陣が同年輩なので打ち上げが弾ける、かつては三遊亭白鳥が酔いつぶれ、翌朝部屋にダウンの羽が散乱していて大騒ぎ、などなど爆笑させてから、意外にしっとりした「竹の水仙」を短めに。3年前に橘家文左衛門さんで聴いた左甚五郎ものだ。
宿の主人の夫婦喧嘩は割とコンパクトで、悠々と語る甚五郎の大人物ぶりに力点がある感じ。村役人がいい人で面白い。ちょっと説明を入れて「今日は古典だ、我慢しろ」なんてクスグリが楽しい。堪能。
中入り後はなぜか3人でトークショー。といっても桃太郎さんの楽屋話の放談を2人が聞くだけだ。桂米丸、歌丸師弟の噂とか、協会長は昼行燈がちょうどいいとか、襲名は難しい、志ん朝の名は誰も継がないでほしい、芸術協会に移籍した立川談幸は転校してきた女子みたい、などなど、喬太郎、三三は受け答えに窮してばかり。最後は喬太郎を芸術協会にスカウトしたい、と言って幕となりました。
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