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文楽「国姓爺合戦」

第一九〇回文楽公演第三部  2015年2月

文楽公演の第三部は「国姓爺合戦」1本で、大夫、人形の中堅が活躍して頼もしい。国立劇場小劇場の、三味線が音がびんびん響いてくる前の方上手寄りで5900円。休憩を挟んで3時間弱。

国姓爺と言えば個人的には、2010年の国立劇場で団十郎さんの和藤内、坂田藤十郎さんの錦祥女で観た演目。歌舞伎に先立ち、近松が1715年に文楽で初演して17カ月ロングランをとったとのこと。国威発揚フレーズの連呼などには違和感を覚えるものの、派手な立ち回り、泣かせどころと起伏が大きくて面白い。

上演は千里が竹虎狩りの段から。奥は三輪大夫、竹澤團七、ツレで豊澤龍爾、鶴澤清公。明再興のため大陸に乗り込んだ和藤内(吉田幸助さんが大ぶりだ)が、虎を伊勢神宮のお札で制圧し、安大人たちを従えて獅子が城を目指す。虎は桐竹勘介が珍しい着ぐるみで、床まででばっちゃったりして熱演。しかも珍しく足遣いの動きまで見えて、躍動。
続く楼門の段が意外に面白い。豊竹呂勢大夫が鶴澤清治のリードで朗々と。呂勢さん、漆の凝った見台も見事です! 錦祥女(豊竹清十郎が上品に)、老一官(吉田玉輝)親子の涙の対面で、錦祥女が楼門の上から父の姿を鏡に映し、絵姿と見比べるシーンや、城郭の上にいるツメ人形の兵士の一人が、こっそりもらい泣きするなど、演出に細かい工夫がある。

25分の休憩の後は変化に富んだ甘輝館の段で、竹本千歳大夫が熱演。豊澤富助もここぞというところでは、掛け声が大きくてびっくりさせる。官女たちのチャリ場から、明再興の夢と面子との狭間で揺れる甘輝の葛藤へ。吉田玉女が抑制をきかせつつ、存在感を見せつける。華やかな中国風セットだけに、地味な和服姿、しかも縄で縛られっぱなしの老一官妻(桐竹勘壽)の、毅然とした態度も映えるなあ。
大詰め、紅流しより獅子が城の段は、豊竹咲甫太夫、竹澤宗助コンビではつらつと。セットが次々に左右にはけて、ダイナミックに転換していく。まず錦祥女が上手の一間から、交渉決裂の合図の紅を流し、外で待っていた和藤内は、なんと石橋の欄干をもぎ取っちゃって城に乱入。どでかい虎の絵の広間で、女2人の犠牲という悲劇があり、男2人はきらびやかな衣装に身を包んで戦いに向かう。派手でした!

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