METライブビューイング「メリー・ウィドウ」
METライブビューイング2014-15第6作「メリー・ウィドウ」 2015年2月
2015年ライブビューイング初めは、レハールのご機嫌オペレッタ。2012年のウィーン・フォルクスオーパー来日公演が素晴らしかった演目を、今回のMETは新演出で、大胆にブロードウェイのミュージカルと融合した。オペラハウスとしては異端かもしれないけれど、サービス精神がNYらしくていいなあ。サーの称号を持つ英国のアンドリュー・デイヴィスが精力的に指揮。1月17日の上演で、1幕のあとの休憩を挟んで3時間弱。東劇で。
いわずとしれた1905年初演の王道ラブコメ。退廃的な雰囲気もあり、音楽が本当にロマンティックだ。のっけからサビがメドレーで流れ、ベタなんだけど心地いい。2幕でハンナが恋の魔法を説く「ヴィリアの歌」、男たちが大騒ぎする「女、女、女のマーチ」、そして何といっても繰り返し登場し、3幕で最高潮に達する2重唱「唇は語らずとも(メリー・ウィドウ・ワルツ)」にうっとり。
その完成された作品を、今回はミュージカル「プロデューサーズ」などのスーザン・ストローマンが、古風かつきらびやかに演出。なんと全編英語で、皮肉のきいたセリフがわかりやすくて客席の笑いも多い。
1幕の華麗な舞踏会、2幕の民族衣装によるバルカンダンス、そして3幕キャバレーでの「グリセットの歌」に続く陽気なカンカンと、ダンサーが大活躍し、歌手やコーラスも達者に踊りまくる。2幕ハンナの別邸から3幕キャバレー・マキシムへのダイナミックな舞台転換もミュージカルっぽくて面白い。
主役の金持ち寡婦ハンナはMETのトップスター、ルネ・フレミング(ソプラノ)。疲れ気味のようだったけど、さすが肩の力が抜けて堂々たるもの。相手役で書記官ダニロのネイサン・ガン(バリトン)が甘い声で、見た目も役にはまってた。お騒がせ伯爵夫人ヴァランシエンヌには「南太平洋」などでトニー賞に5度ノミネートされたという細身のミュージカルスター、ケリー・オハラ。なんとオペラデビューで、ところどころポップス調になりながらも、ソプラノを頑張る。チャレンジャーだなあ。その浮気相手カミーユのアレック・シュナイダー(テノール)は、声が一番伸びていたかも。METオーディションの出身なんですね。今後に期待!
ほかにツェータ男爵は大ベテランのサー・トーマス・アレン(バリトン)、また、歌手ではないけど狂言回しの書記官ニェグシュ役、カーソン・エルロッドがいいトボケ具合でした。楽しかった!
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