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さまよえるオランダ人

さまよえるオランダ人  2015年1月

飯守泰次郎オペラ芸術監督の指揮で、今シーズン2作目のワーグナーを聴く。伝説を素材に救済を描くという作風が確立した、28歳の時の作。シンプルで昂揚感は少なめながら、旋律が美しい。バイロイトなどで活躍するマティアス・フォン・シュテークマンの演出はスタイリッシュ。幅広い客層が集まった新国立劇場オペラハウス、やや後ろの中央で2万1600円。全3幕で1幕の後に25分の休憩を挟み、約3時間。

永遠に海を彷徨うオランダ人船長(トーマス・ヨハネス・マイヤー、バリトン)がその運命から逃れるべく、ノルウェー船船長ダーラント(ポーランド出身のラファウ・シヴェク、バス)に宝物を与えて、可憐な娘ゼンタ(リカルダ・メルベート、ソプラノ)との婚約にこぎつける。ゼンタは貞節を誓うが、一方的にゼンタを思う狩人エリック(ダニエル・キルヒ、テノール)との会話から、オランダ人は裏切られたと誤解。ゼンタは海に身を投げて彼を救う。

いきなり序曲が壮大で、不気味な嵐の海からきらめく救済の動機まで、聴く者を圧倒する。東フィルは飯守さんの情熱が勝ちすぎたのか、滑り出しが不安だったけど、2幕あたりから調子が上がったかな。メルベートが2幕1場のたっぷりした「ゼンタのバラード」、同3場のマイヤーとの起伏ある2重唱などで舞台をさらう。
メルベートに比べると男声陣は弱かった気がするが、マイヤーが1幕2場の長大なモノローグなどを堂々と。いつものように合唱団が大活躍で、2幕の軽快な「糸紡ぎの合唱」、3幕の「水夫の合唱」がリズミカルな集団の動きとあいまって、厚み十分。ラストにちょっとだけ登場するハープが、いい余韻を残す。
3度目の上演だというセットは、船の舵と糸車の相似形が果て無い宿命を思わせる。暗い照明のなか、世界地図風の柄の赤い帆が舞台を覆って、世の不吉を象徴するようだった。

終演後、客席で飯守監督が2015/16シーズンの演目を説明。入場無料で約1時間、10本中3本の新制作を中心に、疲れも見せずラインアップを解説してくれた。得意のワーグナーで、いよいよリングの新制作に着手し、4作品の主要テノールをなんと一人で通しちゃうこと、珍しいヤナーチェク作品をチェコ人指揮者で取り上げること、フランスオペラ「ウェルテル」をバイロイトの盟友でオペラ座総監督ニコラ・ジョエルが演出すること、などを熱く語っていて、楽しかった。ほかにも若手で指揮者ビニャミーニ、ソプラノのシーリ、スターテノールのフォークトなどに期待です!

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