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志の輔らくご「スマチュウ」「三方一両損」「先用後利」

PARCO presents 志の輔らくごin PARCO 2015  2015年1月

初落語は恒例の立川志の輔。お正月、1カ月公演の10年目という節目に加えて、故郷富山念願の北陸新幹線開業を3月に控え、お祝いムードがひときわだ。いつものように開演前にロビーで手拭を買い、福引をひいて入浴剤を貰う。大入りのパルコ劇場、2列目中央あたりという極上席で6500円。中入りを挟み3時間。

長唄連中のお囃子から、オレンジの座布団も鮮やかに、師匠が登場。いつもの年始の里帰り公演で、悪天候から飛行機が飛ぶかハラハラした、おまけに出迎えの女性スタッフがスマホを落としちゃうハプニング、雪の下から出てくるシーンは爆笑。スマホ無しにはいられなくなった現代生活に触れつつ、新作「スマチュウ」。
これはスマホ中毒のことで、ネジ工場社長のところに大学生の甥が卒業旅行の費用を借りに来る。スマホをいじってばかりの態度を叱っていると、社長もメッセージアプリを奥さんに見られて、いろいろとばれちゃう。凡人のあたふたぶりに、安定感がある。
2席目までの間には、セットでライン画面を表現。本日の開演に遅れた客と連れとのやり取りで、間違って東急ハンズに行っちゃってる展開が微笑ましい。

袴に着替えて2席目。笑いは人間独特のもの、人によって笑いのツボが違うのが難しいと話し、小咄をどんどん繰り出して反応をみる、談志さんを彷彿とさせるマクラから「三方一両損」。お馴染みの古典だけど、大岡裁きとサゲの洒落のところで、越前守と左官、大工が互いに首をひねるアレンジが巧い。この2席目は日によって演目を変えているようだ。

中入り後は、すっきりと白い座布団で、北陸新幹線開通のPRに参加した、富山は観光資源に乏しくて、有名な蜃気楼も実は県民はほとんど観たことがない、昨年の落語会でアンケートをとったら「富山と言えば薬売り」だった、と振っておいて新作「先用後利」。
題材はずばり、富山の薬売りだ。留守中に丁稚が勝手に富山の薬売りから薬箱を受け取ったと知った番頭さん。配置薬ビジネスの仕組みを、話がうますぎると疑ったことでドタバタが起きる。本家の評価を気にしてばかりいる番頭の、常識的な小市民キャラが際立つ。2代藩主・前田正甫の江戸城腹痛事件という薬売りの発祥を織り込んでおり、師匠の郷土愛が微笑ましい。大爆笑ではないけれど、安心して楽しめるネタと話術は、この人ならではだ。

いったん降りた幕を上げて、ラストは吉例により長唄連中をまじえた三本締め。帰りがけに座席番号の抽選によるプレゼントがあり、ロビーでは薬売り姿の人形と記念撮影も。いつものようにサービス満点でした。

 
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