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立川談春「夢金」「文七元結」

立川談春三十周年記念落語会「もとのその一」  2014年12月

2014年のエンタメ大トリは昨年に続いて、談春さんとなりました。30周年という節目を迎え、人気実力に対する自負と屈折がないまぜの、思いが詰まった高座を堪能。入り口に大きなポスターを掲げ、3階までファンが集結したKAAT神奈川芸術劇場ホール、前の方いい席で3900円。仲入りを挟みたっぷり3時間。

白い屛風のすっきりしたしつらえで、いきなり黒紋付の談春さんが登場。今回は個人的に30周年を祝う場だと念押しし、観客の瀬踏みを始める。「イツワ電器の坂東」で知った人、落語は志の輔パルコか小朝だけの人、あるいはかなりの通でうるさ型、中間のちょうどいい応援団がいない、と憎まれ口を叩いてから、今年の活躍ぶりを総括。30周年皮切りのフェスティバルホールの日に、ドラマの台詞が大幅に変わって覚えるのが大変だったこと、共演の三津五郎さんの「台本の坂東のところ読んじゃう」というチャーミングな発言、深夜バラエティの視聴率は悪くなかったが、テレビ的知名度はまだまだで、所ジョージに「立川さん」と呼ばれたこと、などなど。
1席目は日本海側の豪雪予報を気遣ってから、雪つながりで「夢金」。初めて聴く噺で、舞台は浅草の雪の夜。守銭奴の船頭・熊が酒手欲しさに、怪しい浪人者と品のいい娘を深川まで送ることになる。船上、浪人から強盗の共犯を持ち掛けられたが、中洲におろして逃げる。娘の親からお礼をたんまりせしめたと思ったら、というオチは他愛無いが、暗く、しんしんと寒い大川端(隅田川)の景色が秀逸だ。
終わってそのまま客電を明るくし、2席目「文七元結」を解説。円朝が江戸っ子気質を示すために作った、歌舞伎版の勘三郎が素晴らしく、日程が奇跡的だった追善落語会で演じたこと、墓参りに行ったら「しっかりな」と声が聞こえたこと、最近の「芝浜」流行りは自分が先鞭をつけた、これからは文七かも、でも志の輔は長兵衛が金をやる心理が理解できない、これは博打なんだ、文七は借金を返せると思っている、自分は「柳田格之進」や「中村仲蔵」のほうがよっぽど理解できない、などなど。期待が盛り上がります。

休憩を挟んでマクラ無しに「文七元結」。フルバージョンの熱演で、特に佐野槌の女将の説教の迫力が凄い。腕のいい職人がなぜ博打にはまったのか、上手いと言われるほど虚しく、不安なのだ、というあたりが初めて聴く解釈で、自意識満載。会場も息を詰めて聴く感じだ。吾妻橋のくだりは、目の前の命が大事だということ、そして親が子を思う気持ちが染みた~ 個人的には、ぼそぼそ喋りの佐野槌の番頭が羽織を取り返すところや、近江屋の番頭がやけに吉原に詳しいという、脇役のネタがくっきりしていて嬉しい。
いつにも増してこってり、がっつりの高座は、先日のさん喬さんとは全く別物。終わって師匠自ら、トークショーでも話していた通り、もはや落語とは呼べないかもしれないけど、好きにやらしてもらうんだ、という覚悟めいた語りがあって、ラストは三本締めでした。あ~、面白かった。

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