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歌舞伎「鈴ヶ森」「勧進帳」「すし屋」

吉例顔見世大歌舞伎 夜の部  2014年11月

憧れだったという弁慶を、市川染五郎41歳が初役で勤める。初世松本白鴎三十三回忌追善公演と銘打っており、応援モードの話題の舞台だ。歌舞伎座の前寄り、富樫の背中を見る格好の、上手端で1万8000円。2回の休憩を挟んで4時間半。

夜はお馴染みの演目3本が揃った。2本目「歌舞伎十八番の内勧進帳」は富樫で父・松本幸四郎、太刀持で長男・松本金太郎、さらに義経でびっくりの中村吉右衛門と、一家勢揃いの大舞台。線の細い印象のあった染五郎が、見違えるような発声で大健闘だ。小細工、わざとらしさが無く、いっぱいいっぱいな印象も人間・弁慶を感じさせていい。会場も大拍手だ。
吉右衛門は俳優としてのあまりのデカさに違和感は拭えないものの、きちんと貴公子になっていて、さすが名優。富樫はいつもの幸四郎節ですね。四天王は大谷友右衛門、白鴎の部屋子から市川高麗蔵(こまぞう)とベテラン・松本錦吾、澤村宗十郎の部屋子だった澤村宗之助が固める。後見は友右衛門の長男・廣太郎でした。

夜の部の出だしは高麗屋家の芸「御存鈴ヶ森」。以前は梅玉、幸四郎で観たけれど、今回は音羽屋コンビで若々しく。白井権八の尾上菊之助が、いつも通り声が通って、いかにもスターです。対する幡随院長兵衛は初役で尾上松緑。名乗りのくだりで「鼻が高い」と江戸時代の五代目幸四郎、「麻布の叔父さん」と現・九代目に敬意を表しつつ熱演してました。南北調の台詞が心地いいけど、稀代の侠客らしい凄み、重みはまだまだかな。

そして締めは「義経千本桜」から三段目「すし屋」。1年前に仁左衛門さんで観たいがみの権太は今回、尾上菊五郎。年齢は覆うべくもないけれど、無頼漢のいい加減さに愛嬌がたっぷりプラスされ、それが大詰めの不器用さにつながっていて説得力がある。さすがです。
軟弱な弥助の中村時蔵が、酢屋弥左衛門(市川左団次)を相手にすると一転、平維盛に戻るところが巧い。軽妙から悲嘆に至るお里は、時蔵の長男・梅枝。梶原景時の幸四郎が生真面目に仕切り、家臣は若手を中心に坂東亀寿(かめとし)、時蔵の次男・中村萬太郎、三津五郎の長男・坂東巳之助、錦之助の長男・中村隼人。

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