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METライブビューイング「マクベス」

METライブビューイン2014-15第1作「マクベス」  2014年11月

ライブビューイングのシーズン開幕は、ヴェルディの陰影が濃いシェイクスピア悲劇で、なんといってもディーバ・ネトレプコが圧巻の悪女ぶり! オペラ界のガガ様と呼びたい。ファビオ・ルイージ指揮で10月11日の上演。いつもの新宿ピカデリーで3600円。1&2幕90分、休憩を挟んで3&4幕60分強で計3時間20分。

発表当時は革命的だったというベルカントからの脱却、ドラマ重視の音楽が素晴らしい。そのドラマを牽引するのは、なりきりレディマクベスのアンナ・ネトレプコ(ソプラノ)、43歳。金髪に薄物1枚、ベッドの上でセクシーに登場し、「さあ地獄の司たちよ、立ち上がれ」ののっけから、迫力の声と体格で押しまくる。子供のように権力を求めて夫を挑発し、1幕殺人直後の夫妻の2重唱、そして4幕の「夢遊の場」へと喝采続きだ。
ほかのキャストも、METらしく豪華。スコットランドの武将マクベスはジェリコ・ルチッチ。やはりライブビューイングの「リゴレット」で観たセルヴィアのバリトンで、ネトコ様に押され気味だけど安定感がある。国王ダンカン、同僚バンクォー(ルネ・パーペ、バス)を手にかけて王冠を得るものの、罪の意識に苛まれて暴君に。パーペは2幕で死んじゃうもったいなさだが、血まみれの亡霊となって堂々と。ラストにマクベスを倒すマクダフの、ジョセフ・カレーヤが伸びやかでいい。やはりライブビューイングの「ルチア」で観たことがある、マルタ島出身のテノールだ。「ああ父の手は」が輝かしく、拍手も大きかったな。
合唱もスターに負けていない。マクベスの権力欲を翻弄する魔女たちに存在感があり、また戦時に生きる民衆の静かなコーラス「虐げられた祖国よ」が感動的だ。のちの「ナブッコ」を思わせます。

終戦直後あたりに時代を移した、エイドリアン・ノーブルの演出がスマート。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの芸術監督を務めた人で、シンプルな柱や雪、緑の大旗でシーンを構成し、魔女の予言では顔を照らすライト、映像を駆使。特に「夢遊の場」の、椅子を並べていく不安定さが秀逸だ。
案内役は新顔アニータ・ラチヴェリシュヴィリで、幕間インタビューにはゲルブ総裁や主要キャストのほか合唱指揮のパランポ、合唱団員フライが登場。複数演目を並行して準備するのは凄い技量だ。オペラを題材にした現代美術家のショートフィルムは意味不明だったけど。
ネトコ様は相変わらずのハイテンション。NYTのインタビューによると来季は「イル・トロヴァトーレ」だとか。ますます楽しみです!

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