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講談「出世の大盃」「赤垣源蔵徳利の別れ」「木津の勘助」「徳川天一坊」

神田春陽真打昇進披露興行  2014年10月

お披露目の興行第一弾に駆けつけました。ちょっと遅れて宝井琴星さんの途中から。熱心なファンが集まった、お江戸日本橋亭で2000円。春陽さん、腕をあげた印象で、頼もしいです。

一龍斎貞花は保護司をしていることなどを紹介してから、おめでたく「出世の大盃」。冴えない足軽・三郎兵衛が、酒好きの藤堂高久の相手をして大盃「武蔵野」で豪快に呑み、さらにかつて2人が大坂の陣で出会っていたことがわかって出世する。黙阿弥作の歌舞伎演目のようです。さらさら喋るのに、味わい深い。巧いなあ。

仲入り後は口上。本人は頭を下げたきりで、周りが笑わせたり、師匠の羽織を着たきた神田すみれさんがしみじみさせたり。そして琴星さんによる手締め。
後半はまず、すみれが定番・義士銘々伝から「赤垣源蔵徳利の別れ」。素浄瑠璃で聴いたことがあるけど、兄弟の大人っぽい距離感がいい。

そしていよいよ春陽登場。「2席やります。1席で帰っても怒りませんよ、恨むだけ」と笑わせ、クライマックスシリーズの話題から「自分は今がクライマックスにならないように」と振っておいて、浪速の出世談「木津の勘助」。大店の旦那に落し物の財布を届けたみすぼらしい百姓・勘助が、墓石の上に置いていた無礼をずけずけたしなめると、旦那は率直に詫びてかえって意気投合。婿になって持参金なんと三千両を手にするという、痛快なストーリーだ。
はきはきした口調に磨きがかかり、声の強弱も心地いい。真の侠客・勘助は秀吉の家臣で、木津川の治水工事などを手掛けた人物とか。落語や浪曲にもなっているそうです。「出世の大盃」といい、講談にはこういう夢があるんですね。

そのまま続けて「徳川天一坊」へ突入。こちらは逆にお祝いらしくない気がするけど、大ネタというチョイスなのかな。紀州に住む男がふとしたきっかけで罪をおかし、吉宗ご落胤の証を手に入れて、坊主、山伏になって逃げ延びていく。波乱万丈のピカレスクロマンの冒頭部分を、迫力たっぷりに。コクーン歌舞伎の「天日坊」を思い出しながら聴いた。
表でご本人と、なんとジャージに着替えたすみれさんが見送ってくれました~
Photo

実はお披露目興行に先立って、真打披露パーティーにもお邪魔してました。司会は宝井琴調(きんちょう)さん。翁家和楽社中のお囃子と獅子舞もめでたく、講談界はもちろん、大人気・喬太郎さんらの挨拶あり、さらには活動弁士・坂本頼光(らいこう)さんの爆笑「白い袋」ありと、とても温かい会でした。
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