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落語「真田小僧」「代書屋」「二階ぞめき」「百川」「富九」

COREDO落語会第一回  2014年10月

高水準の顔合わせで、江戸情緒たっぷりの、贅沢な落語会だ。仕事帰りらしい人が目立つCOREDO室町・日本橋三井ホール、アリーナ席で5000円。シリーズ1回目とあって、プロデュースの山本益博さん自らもぎりに立つサービスぶり。

冒頭に、金山はる社中の「あの町この町」(談志さんの出囃子)にのって益博さんが挨拶し、まず二つ目の柳家花ん謝。お年寄りが集まった落語会に行って、「あやうく吹き出しそうになった」と言われてがっくり、といったマクラから、何度か聴いたことがある「真田小僧」へ。思わせぶりの話をしてまんまと小遣いをせしめる生意気な子供を、はきはきと。
本編はいきなり柳家権太楼が登場し、寄席の楽屋の様子、若者はすぐスマホで正解を調べちゃっうから興ざめだ、などと振ってから「代書屋」。履歴書を書いてもらいにきた、下町の無学な男がなんともチャーミングだ。本籍を尋ねられても生年月日をきかれてもトンチンカン、大仰なんだけど、こういう人いそうだなあ、と思えて味わい深い。四代目桂米團治作の上方落語で、演者によって様々なバージョンがあるらしい。権太楼の十八番だそうで、すっかり江戸前ですね。
続いて柳家花緑が、本日若旦那をできるのは私だけ、とさらりと喋ってから2011年にも聴いた「二階ぞめき」。吉原通いは「平袖」を着るとか、粋な文化を感じさせる。端正でリズムがいい。

中入り後はお楽しみ春風亭一之輔。日本橋との所縁や、四神剣について解説してから「百川」。以前やはりこのホールで、談春さんで聴いた噺だ。人物の振れ幅が大きい一方、落ち着いていて粋だ。特に百兵衛の珍妙な訛りや、乱暴な客・河岸の連中との誤解満載のやり取り、怯えぶりが可笑しくてたまらない。巧いなあ。
トリは再び権太楼が「富久」。酒で客をしくじってしまった幇間の久蔵が、一獲千金を夢見て富くじを神棚に供える。その夜、客の店が火事に遭って駆けつけたのはよかったが、見舞いの酒を呑んで寝入っている間に、今度は自分の長屋が焼けてしまう。意気消沈していると、なんと富くじが当選。しかも焼けたと思った神棚を近所の鳶頭が預かってくれていて、めでたしめでたし。ジェットコースターストーリーに翻弄される庶民の心の揺れ、火事と富くじという江戸風情があいまって権太楼さんにぴったりでした~

次回は2月で、年4回開催予定だそうです。楽しみですね。
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