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炎立つ

炎立つ  2014年8月

奥州藤原氏の祖・キヨヒラの苦闘を描いた高橋克彦の原作・原案を、「おそるべき親たち」を観た木内宏昌が脚本にし、「木の上の軍隊」などの正統派・栗山民也が演出。片岡愛之助、三宅健出演とあって、シアターコクーンは女性客が圧倒的だ。中央のいい席で1万円。休憩を挟み2時間半。

時は平安後期。陸奥を治めるキヨヒラ(愛之助)は、エミシの棟梁たらんとする異父弟イエヒラ(三宅)に攻められ、無残にも母(三田和代)と妻(宮菜穂子)が自害する。辛くも逃げのびた後、朝廷に認められたい源氏の源流・陸奥守ヨシイエ(益岡徹)とのタッグを選択。出羽で兵を蓄えたイエヒラを壮絶な戦いのすえ、ついに討ち果たすが、恨みを超えて平和な理想郷を築くべく、黄金の都・平泉を開く。

構築的で非常に上品な舞台だ。低い横長の階段に、赤い布や照明、人物のシルエットでうまく変化をつける。美術は「あかいくらやみ」などの二村周作。数万の軍勢や柵(砦)があるはずの戦闘シーンも、群集や安っぽい映像は一切無し。「5オクターブの音域」新妻聖子の歌と語り、4人の女性コロスの歌とダンスで、十分、想像力が喚起される。
朗々と語るシーンが多い俳優陣は、安定している。特に宿命の抗争を予言する古代神アラハバキの平幹二朗が、長髪を振り乱して怪演だ。暴力を象徴するような真っ赤な舌が怖いし、舞台後方に控えているだけのシーンでも、存在感を発揮する。ちょっと能っぽいかな。愛之助は耐える役回りだけど、大地に一本の杭を打つ象徴的な仕草が、実に美しい。さすがです。敵役の小柄な三宅は、黒っぽいメークとキレのある動きで奮闘。

英雄のドラマだけでなく、民衆の犠牲や差別も描き、現代の東北はもとより世界で絶えない紛争までも想起させる、重層的な物語だ。一貫してまっすぐで生真面目。そのぶん中盤ではちょっと平板な印象も。
幻想的な音楽、ヴァイオリン演奏は金子飛鳥。開演前に栗山さんとロビーで遭遇しました~

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