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リヨン歌劇場「ホフマン物語」

Bunkamura25周年記念 フランス国立リヨン歌劇場来日公演 「ホフマン物語」  2014年7月

ジャック・オッフェンバック作曲、フランス語の洒脱でみどころが多いオペラを面白く観劇。主席指揮者として、フランス第2の都市の歌劇場を率いる大野和志の凱旋公演だ。オーチャードホールの前寄りで3万9000円。1・2幕を続けて75分、3幕50分、4・5幕続けて45分で、休憩を含め4時間弱。

酔いどれ詩人ホフマン(ジョン・オズボーン、米国人テノール)が、酒場で女優ステッラを待つ間に、人形オリンピア、歌姫アントニア、娼婦ジュリエッタ(いずれもパトリツィア・チョーフィ、イタリア人ソプラノ)との破れた恋を語っていく。耳に残る名曲「ホフマンの舟歌」をはじめ、親しみやすい旋律満載で、男の愚かさと傷心をほろ苦く描く。
ヴェルディ、ワーグナーとほぼ同時代のオッフェンバックは、享楽的なオペレッタを発明して人気を博し、晩年に初オペラの本作に取り組むものの、未完のまま没したという。そう知ると「ドン・ジョバンニ」の幕間という設定が皮肉っぽい。

さまざまな発見、研究で多数のバージョンがあるという。2005年初演の今作はバルセロナ・リセウ大劇場、サンフランシスコ歌劇場との共同制作で、レチタティーボでなくセリフを使用。心がない人形、命がけで芸術を希求する淑女、男を破滅させる悪女が実はすべてステッラの内面だった、という文学的解釈だ。そのため過酷にもソプラノがひとりで4役をこなす。ホフマンに手を差し伸べるミューズと親友ニクラウス(ミシェル・ロジエ、カナダ出身のメゾ)、また各エピソードの敵役4人(ロラン・アルバロ、フランスのバリトン)もそれぞれ1人の歌手。なんだか小劇場っぽい雰囲気が漂う。

ピットが広い構造のせいか、オケが非常にクリアに響く一方、歌手の声が上野などと比べてこもりがち。2幕以降でようやく声が前に出てきて、安心した。チョーフィは伝統的コロラトゥーラからリリック、ドラマティックなヴェリズモ風までこなして見事。特にアントニアの弱音がよく通って、冴えていた。オリンピアではクレーンに乗ってびゅんびゅん上下しちゃうし。当人はセグウェイがお気に入りらしく、カーテンコールはわざわざ人形姿で登場しちゃって、お茶目でした。
オズボーンもほぼ出ずっぱりでアリアを聴かせ、情熱的な演技力も発揮。欲を言えば大人っぽい舞台の割に、主役2人の色気がいまいちだったかな。美しいロジエ、細身で怪しさ満点のアルバロがいい存在感。そして合唱がホフマンを分厚く取り巻く。

演出・構成は英国ロイヤル・オペラ来日公演「マノン」で観た人気者ロラン・ペリー。幻想的な「闇」がテーマとあって、照明を落とし、閉塞感のある高いパネルや不安定な階段、白いカーテンを動かして心理の襞を表現していく。全体にシンプルだけど、人形のクレーンのほかアントニアの母の幻影や、ホフマンが影を奪われる鏡のシーンなどで映像技術を駆使。アルバロの陰影も効果的だった。
客席には政治家、財界人も姿も目立ちました~
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