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太陽2068

Bunkamura25周年/シアターコクーン・オンレパートリー2014『太陽2068』  2014年7月

2011年読売演劇大賞受賞作をベースにした前川知大の戯曲を、若い世代と切り結ぶ御大・蜷川幸雄が演出。楽しみなタッグに配役も揃い、アヤノからあっちゃんまで、客席には幅広いファンが集結した感じだ。シアターコクーン、前のほうのいい席で1万円。

人類が進化をとげ、頭脳も身体も優秀だけど、太陽光の下では生き延びられないノクスが出現した未来。従来型人類のキュリオは肩身が狭い思いで暮らしている。そんなキュリオ居住地域の「長野8区」で、ノクスの門番・森繁(成宮寛貴)と、ノクスに憧れるキュリオ青年・鉄彦(綾野剛)の間に友情が芽生えていく。

2013年に観た「唐版 滝の白糸」の長屋のセット(朝倉摂)が、うらぶれたキュリオの集落を表現。布が引かれて透明アクリルの床下から、冷たい青ライトのノクスの世界が現れる導入が鮮やかだ(美術は中越司)。
中盤は前川らしい理屈っぽいせりふが続いて、休憩を挟んで3時間弱は長いかな、とも感じたけれど、大詰めでがぜん主役2人が輝きはじめる。星空を眺めて語り合うシーンの可愛らしさ。そしてニナガワさん得意の、太陽の下に飛び出していくラストは、「明日に向かって撃て!」ばりのカタルシス。ラテン調の「ホテル・カリフォルニア」が計算抜きの青春を感じさせる。
差別意識や紛争、技術進歩の罪。ストーリーにはいろんな連想がぎっしりだ。キュリオの娘(前田敦子)と、家族を捨ててノクスになった母(伊藤蘭)、新しい夫(山崎一)との葛藤あたりは、やや消化不良な印象がある。とはいえ太陽という存在が、欠陥だらけでも決して失われることがない人間の生命力をクリアに象徴し、また、いつもながら「面倒なことを引き受けていく覚悟からしか、未来は開けない」というメッセージが強く響く。

役者陣では優秀なノクスのくせに弱さがこぼれる成宮が、切なさ全開で圧倒! 寝袋の中でゴロゴロしてるだけのシーンでさえ、どうなることかと目が離せない。対するニナガワ初登場の綾野は、映像で受ける印象より意外に溌剌としている。いきなり灰皿を投げるあたり、やんちゃだし。カーテンコールでもハイな様子でしたね~ 
蘭ちゃん、山崎、鉄彦の母・中嶋朋子、結の父・六平直政、その幼馴染でノクスの医師・大石継太という豪華キャストは、さすがの安定感。トラブルメーカー役の横田栄司は、あんまり見せ場がなかったかな。初舞台の前田は健闘だけど、色気が今ひとつ。「頼んでもいないのに」裸になっちゃうキュリオ青年・内田健司が怪演だ。

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