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母に欲す

パルコ・プロデュース「母に欲す」  2014年7月

ポツドールの三浦大輔作・演出、音楽は大友良英。若い観客が多いPARCO劇場の、なんと最前列で7500円。休憩を挟み3時間半弱。

過激表現で知られる三浦が、今回は意外にも男の子が持つ普遍的な母への思慕をしみじみと描いて、微笑ましいくらいだ。主人公・裕一(銀杏BOYZの峯田和伸)は東京で怠惰に暮らし、電話にも出ない。そのせいで母の死を遅れて知り、慌てて東北の田舎町に帰省する。告別式にも間に合わなかったことへの激しい後悔、真面目な勤め人である父(田口トモロヲ)、弟(池松壮亮)との軋轢。ところが四十九日が過ぎたとたんに突然、父が連れてきた後妻(片岡礼子)を巡って、男3人の心が滑稽に乱れ始める。
言ってしまえば情けないマザコン話。けれど繰り返される「自分のことばかりで」という反省に、情けない人の業と、それを超えていく損得抜きの情愛が浮かびあがる。

荒れた裕一のアパート、堅実な故郷の家(2階建)の2セットで、いつものように小道具でリアルに作りこまれた日常を、おおむね淡々と綴っていく。窓にさす夕陽とセミの声が、虚しくて印象的。
俳優では子犬みたいな目をした池松が、微妙な訛りをまじえてぼそぼそと喋り、圧倒的な存在感だ。突然発する大声や、細かい視線の演技に目を奪われる。一方、2010年に観た「裏切りの街」で音楽を担当していた峯田は、のろのろした動きぶりが驚異的。寝起きのシーンだけで10分以上はかかる。とても初舞台とは思えない集中ぶりだ。ギターをかき鳴らすシーンはさすがの説得力ですね。
眼鏡で表情がわかりにくい片岡が、謎めいており、弟の恋人・土村芳は溌剌と可愛い。また幼馴染みとして裕一を諭し、励ます米村亮太朗が優しい語りで泣かせる。2011年「おしまいのとき」で観た凶暴さが嘘みたいだなあ。父の後輩に古澤祐介。
三浦は本作で「演劇活動はひと区切り」と言っているとか。これからどこに向かうのか、気になりますね。

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