« 昔の日々 | トップページ | ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―― »

関数ドミノ

イキウメ「関数ドミノ」  2014年6月

見逃せない前川知大作・演出の劇団イキウメ。リアルな日常のすぐ隣に、SF的状況がぽっかり口を開けている。笑いもあって、休憩無しの約2時間を長く感じさせない。2005年初演作の再々演だが、内容は毎回書き換えられているという。若いファンが目立つシアタートラムの、下手寄り最前列でお得な4200円。

きっかけは平凡な地方都市で起こった、不可解な交通事故だ。保険調査員(岩本幸子)が、大破した車のドライバー(新倉ケンタ)、なぜか無傷で済んだ歩行者(大窪人衛)とその兄(浜田信也)、恋人(吉田蒼)、さらに目撃者たち(安井順平、森下創、盛隆二、伊勢佳世)を集めて証言させるところから、ミステリーが始まる。安井が「願いが無自覚にかなってしまう人物=ドミノの仕業だ」と言い出し、周囲はまさかと否定しつつ、「ドミノ幻想」にどんどん巻き込まれていく。
「うまくいく奴は、何かズルしているに違いない」というネガティブな思考回路は、ネット社会に広く蔓延する一種の陰謀説を思わせる。確かに、たいして努力しないのに、成功する人はいる。それにひきかえ自分は…。誰でも少しは覚えがある、胸がちりちりするような割り切れなさ。それを飲み込んだうえで、どう行動するのか。

シンプルな四角い舞台と、周囲に点在するテーブルと椅子で、場面を転換していく。安井は「地下室の手記」で観た時のような、歪んだ人物像をくっきり描き、対する浜田がいつもの少し不気味な身体能力を発揮して、謎を振りまく。2つの個性の間で、あくまで普通の人、森下の存在がいいバランスだ。新倉が野性的で要注目。
上手な劇団だけど、やっぱり理屈が勝っている分、色気の要素は少ない。そんななか、浜田が吉田にパスタを食べさせる妄想シーン、がんばってました。お勧め!

025

« 昔の日々 | トップページ | ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―― »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 関数ドミノ:

« 昔の日々 | トップページ | ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと―― »