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ローマ歌劇場「ナブッコ」

ローマ歌劇場「ナブッコ」  2014年6月

巨匠ムーティが統率するローマ歌劇場公演最終日で、極め付け「ナブッコ」を聴く。シンプルかつ静謐なジャン=ポール・スカルピッタの演出(2011年)で、変化に富む美しい旋律、マイクを通さない声の魅力を堪能した。政治家、財界人も目立つNHKホール、いつもの2F通路沿いの上手寄りで4万7000円。2回の休憩を挟んで3時間15分。

前奏曲でいきなり、管楽器や打楽器ががんがん鳴って気持ちがいい。一方、アリアでチェロとフルートだけ、といった繊細さも存分に。また合唱が大活躍の演目。なんといっても第3部ユーフラテスの河畔で、力なく座りこむ囚われのヘブライ人たちが歌う、お馴染み「行け、わが思いよ金色の翼に乗って」は、切なくて文句なく泣けた~
独唱陣では、大祭司ザッカ―リアのドミトリー・ベロセルスキー(バス)が圧巻。第1部冒頭の「エジプトの海辺で」から、圧倒的な声量で広いホールを制圧し、「ブラボー」を浴びていた。先週の「シモン・ボッカネグラ」でも、シモンと敵対するフィエスコを務めており、フル回転。立ち姿も格好よくて、要注目ですね。
対するナブッコのルカ・サルシ(イタリアのバリトン)は、起伏のある演技が必要な役。滑り出しは弱いと思ったけど、徐々に力を増し、4部「ユダヤの神よ!祭壇も神殿も」あたりでは聴かせました。イエルサレム側なのにバビロニア王女と愛し合うイズマエーレ役の若手アントニオ・ポーリ(イタリアのテノール)は、瑞々しい美声。
気性が激しく、権力欲の強い姉アビガイッレは、タチアナ・セルジャンの病気降板で急きょ、ラッファエッラ・アンジェレッティに。イタリアのソプラノの新星だけど、やや線が細く、第2部の難曲「私がみつけてよかった、この宿命の古文書を~かつて私も」はいま一つだったかな。ほかに妹フェネーナはソニア・ガナッシ。

物語は紀元前6世紀、バビロニア王ナブッコがエルサレムに侵攻。娘アビガイッレと対立するが、エホバ神に許しを請うことで復権し、ユダヤ人を解放する。
最小限に抑えたセットが上品で秀逸だった。旧約聖書の世界を、墨絵のような雲などで表現。がらんとした舞台に、照明による陰影が濃く、イエルサレムの神殿は空から静かに小石が降り積もり、バビロンの王宮では背の高いパネルを左右に動かす。衣装も古風で、渋い色調と光沢ある生地が美しい。大詰めでは背景に描いたオリーブの木が金色に輝いて感動的でした。
盛大なカーテンコールではやっぱりムーティが主役。最終日のお約束でオケやスタッフも舞台に上がり、手作りっぽい「ありがとう grazie」の横断幕が登場してフィナーレとなりました。

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