万獣こわい
パルコ・プロデュース ねずみの三銃士第3回企画公演「万獣こわい」 2014年4月
生瀬勝久、池田成志、古田新太と、舞台、ドラマでよく共演しているクセ者兄貴3人が集結して、存分に笑わせる。宮藤官九郎作、河原雅彦演出のダークコメディだ。俳優陣、スタッフとも人気者ぞろいで客層は幅広く、若者が多めかな。パルコ劇場の前のほう、上手端の席で8500円。休憩をはさんで2時間半。
凄惨な一家軟禁事件を題材に、マインドコントロールの恐怖を落語「まんじゅうこわい」に重ねた。こうして観ると、今更ながらよくできた落語だなあ。後味の悪さを狙っているというけど、冒頭から3人が、グロテスクな妖怪被りもので登場し、通路を歩きながら「空席がこわい」とつぶやくなど、余裕たっぷり、アドリブも自由自在だ。
ハロウィンの夜、住宅街の喫茶店で脱サラしたマスター(生瀬)と、もとは不倫相手の妻・陽子(小池栄子)が開店を準備しているところへ、少女トキヨ(夏帆)が飛び込んでくる。軟禁されていた近くのマンションから逃げてきたという。7年後、事件を生き延びて成長したトキヨが表れて、店を手伝うようになるが、怪しい里親アヤセ(古田)が合流。マスターの前妻の弟・馬場(小松和重)、裏がありそうな常連のフリーライター(池田)も加え、一同を支配するようになる…。
喫茶店のセットの上方にセットを重ね、時間軸の異なる軟禁事件当時や裁判の様子とをうまく行き来して、真相をあぶりだしていく。ダンスのキレ抜群の古田、意外に色白で女性役もこなしちゃう池田ら、出演陣はみな達者。なかでも「今ひとたびの修羅」でもよかった小池が、なかなかのコメディエンヌぶりで、嬉しい発見だ。蛸ダンスは一見の価値あり。KERAバージョン「祈りと怪物」で仕立て屋の娘だった夏帆ちゃんも健闘してましたね。
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