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ハルナガニ

ハルナガニ 2014年4月

藤野千夜の小説をベースに木皿泉が脚本を担当した、胸にしみるファンタジー。「南河内万歳一座」座長の内藤裕敬が演出、梅田芸術劇場の企画・製作だ。ちょっと男性が多めのシアタートラム、中央あたりの席で7500円。休憩なしの1時間20分。

雑然とした平凡なマンションのLDKワンセット。1年前に妻をなくして立ち直れずにいる春生(渡辺いっけい)を、息子の亜土夢(細田善彦)が慰めていると、何故かその亡妻・久里子(薬師丸ひろ子)が普通に勤めから帰ってきて、「春生が亡くなってもう1年」とかいいながら、夕食の鰻弁当を用意しはじめる。古い友人である同僚・西沢(菅原大吉)と、部下の三浦(菊池亜希子)が訪ねてきて、さらに状況は混乱していく。
夫婦どちらが幽霊なのか、いったい誰に誰が見えているのか? ずっと謎のままなんだけど、だんだんそれはどうでもいい、と思えてくる。いつも側にいて、意識していない存在のかけがえのなさ、そして自分の存在を確かにしてくれる人とのつながり。使用済みの湿布を捨てられなかったり、ネギでパカパカ叩いちゃったり、小ネタとドタバタで存分に笑わせておいて、終盤の思い出の喧嘩シーンでほろりとさせる。

2012年に同じ脚本・演出コンビで14年ぶりに舞台に立ったという薬師丸が、リズム感があり、声も出ていて、いい存在感だ。ごくごく庶民的な母でいて、上品さが漂う。1964年生まれなんだなあ。同年輩の渡辺ともいい呼吸。切なさのある細田、やけに指の長い菊池の若手2人が奮闘していて楽しみだ。
ホワイトデーの菓子とか手巻き寿司。食べるシーンが重要なのが、ホームコメディらしい。謎のタイトルは、「いずれ春永に」とすると能の別れの言葉になり、三島由紀夫が手紙の結びに使っていたそうです。蟹じゃなかった~

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