« 春の正蔵「道灌」「徂徠豆腐」「壺算」「山崎屋」 | トップページ | METライブビューイング「ウェルテル」 »

四月大歌舞伎「寿春鳳凰祭」「鎌倉三代記」「寿靭猿」「曽根崎心中」

鳳凰祭四月大歌舞伎  2014年4月

歌舞伎座新開場1周年記念、歌舞伎座松竹経営100年の記念でもある公演の昼の部。療養中だった三津五郎の復帰、さらに御大・藤十郎の「一世一代」が話題だし、演目自体も踊りに時代に世話にと盛りだくさんだ。客席にはいつになく着物の女性が多い感じ。上手寄り、中ほどの席で1万8000円。5時間の長丁場です。

幕開けは明るい富士の緞帳で、新作舞踊「寿春鳳凰祭(いわうはる こびきのにぎわい)」。左右に長唄囃子連中が並び、竹と松の日本画をバックに、座紋である鳳凰の冠をつけた女御(時蔵が上品)が舞う。息子・梅枝も綺麗。時蔵の弟・錦之助と隼人の親子も加わり、芸の継承を感じさせる。橋之助が歌舞伎らしい佇まい。扇雀は女御にしては気風が良過ぎるかなあ。
背景が桜に変わると、従者(進之助)に手を取られて帝が進み出る。我當さん、随分とぼとぼしていたけど、まずはご祝儀の1幕ですね。振付は藤間勘祖。

15分の休憩後、文楽で観たことがある義太夫狂言「鎌倉三代記」から絹川村閑居の場。大坂夏の陣に重ねた悲劇だ。時姫(=千姫)が熱烈に思う敵の若武者・三浦之助(=木村重成)に説得されて、ついに父・時政(=家康)を討つ覚悟を決める。額に入墨をした百姓・藤三郎、実は生きていた軍師・佐々木高綱(=真田幸村)の策謀が、筋を複雑にしている。
見ものはやっぱり時姫だろう。田舎家にはあり得ない真っ赤な振袖姿で、三浦之助の老母を看病する。魁春は姉さん被りが引っかかって、キンキラ髪飾りが折れちゃうハプニングがあったものの、愛しい三浦之助のために父を裏切る悲嘆をたおやかに。深手を負いながら、緋縅の鎧姿で母を訪ねてくる三浦之助の梅玉さんと共に、決して派手じゃないけど時代物らしい古風さがいい。
幸四郎はコミカルな藤三郎で笑わせ、いったん空井戸に隠れちゃうけど、時姫が決意した後は一転して重々しく、らしくなる。井戸の中から敵の見張り役を槍で突いて、ぬっと再登場し、「高綱物語」、さらに銭模様の衣装への豪快なぶっ返りで拍手。後半、ちょっと元気がなかったかな。滅びの予感を色濃く漂わせながら、絵面の見得で幕。

30分の休憩でランチをとり、後半はお待ちかね「寿靭猿(ことぶきうつぼざる)」鳴滝八幡宮の場から。明るい狂言を素材に、常磐津連中が盛り上げる舞踊だ。弓矢を持った女大名・三芳野の又五郎が、でっぷりと愛嬌があり、頬を赤くしてやたら男に言い寄ったりして、おおらか。繻子奴と呼ばれる従者・橘平は、父の復活を助ける巳之助だ。声が通って、いい男ぶりが頼もしい。花道から猿曳・寿太夫の三津五郎が出てくると、大向こうからたっぷり声がかかる。病み上がりで衣装が軽い役を選んだというけれど、手つきが美しく、声も出てました。偉いなあ。初舞台で巳之助が務めたという小猿はぴょんぴょん跳ねたり、見得を切ったり、実に可愛い。
三芳野が猿をうつぼ(弓入れ)にしようとし、寿太夫もあきらめて小猿を諭すが、猿は何も知らずに芸をする。そんな姿に女大名がほだされてハッピーエンド。、ラストは皆の舞いが晴れやかでした。

20分の休憩後、いよいよ「曽根崎心中」。1953年に宇野信夫脚色・演出の復活公演で大ヒットし、以後ほぼ一人で1300回以上演じた坂田藤十郎が「一世一代にてお初相勤め申し候」。確かに2009年に同じ演目を観た時と比べて、セリフは聞きづらいけど、冒頭、藤が満開の生玉神社境内の場の可愛さは、変わらず絶品だ。徳兵衛(鴈治郎襲名を発表したばかりの翫雀が実直に)の説明に一喜一憂し、82歳が19歳に見えるのが凄過ぎます。九平次の橋之助がワルらしく、でもワル過ぎなくて存在感がある。
北新地天満屋の場ではお初は煙管をコツコツと打ち付け、足を使って色気満載、強くて迫力満点だ。文楽に比べて下女のチャリ場は少なく、徳兵衛が潔白になったのを知らずに死を選んでしまう展開なので、無常感が強い。天満屋惣兵衛は東蔵、平野屋久右衛門は左団次。大詰め曽根崎の森の場はもう涙涙。文楽のようにリアルではなく、美しく演じ納めとなりました。あ~、堪能した。
0412b 0412a

« 春の正蔵「道灌」「徂徠豆腐」「壺算」「山崎屋」 | トップページ | METライブビューイング「ウェルテル」 »

歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 春の正蔵「道灌」「徂徠豆腐」「壺算」「山崎屋」 | トップページ | METライブビューイング「ウェルテル」 »