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パン屋文六の思案

ナイロン100℃41st SESSION「パン屋文六の思案~続・岸田國士一幕劇コレクション~」   2014年4月

岸田國士が大正から昭和初期に発表した会話劇7作をコラージュし、ケラリーノ・サンドロヴィッチが潤色・構成・演出。岸田國士って戯曲賞で名前を知っていても、こういう企画がないと内容を知る機会がないですよね。「よござんすよ」調の言葉遣いこそレトロだけど、女性の経済力とか低温恋愛とか終末論とか、テーマは現代的だし、シュールな都会的センスが満載で新鮮だ。鯉のぼりがいっぱいの青山円形劇場、最前列で6900円。

主要なストーリーは2つ。「ママ先生とその夫」と、「麺麭屋文六の思案」、続編の「遂に『知らん』文六」だ。「ママ先生~」は寄宿学校を経営するしっかり者の女性(松永玲子)と、浮気なダメ夫(萩原聖人)の愛憎を描く。浮気相手で素っ頓狂な女性教師(小野ゆり子)が読んでいる本の内容、という設定で、本音を言わない若い男女(緒川たまき、花組芝居の植本潤)を描く「恋愛恐怖症」、契約で夫婦(廣川三憲、緒川)が夫婦を休みにする「世帯休業」。さらに人物が少し重なっているショートストーリーとして、生活力のない夫婦(みのすけ、村岡希美)の憂さ晴らし「かんしゃく玉」、姉弟(長田奈麻、眼鏡太郎)と図々しい居候(みのすけ)の確執「長閑なる反目」が挟まる。
どれも情けないニート男とか、カネで簡単に変化しちゃう人間関係とかをシニカルな笑いで描き、決して古びていない。「文六」シリーズだけはちょっと異色で、彗星が地球に衝突する、という噂が広がったパニックの一夜に、人生観が揺らいじゃうパン屋(志賀廣太郎)と一家のドタバタ劇だ。なかなか深い。執筆当時の震災や、軍国主義の台頭が影響してるんだろうか。

シーンに合わせて観客が使う「ニオイシート」や、井手茂太振付のポップな群舞がアクセントになっていたけど、10分の休憩をはさんで3時間10分はちょっと長かったかな~ 俳優はみな安定感があり、間近で見る緒川が綺麗。豆千代監修の和服に、ところどころ洋風をトッピングした衣装が洒落ていた。客席には津田大介さんらしき姿も。

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