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METライブビューイング「ルサルカ」

METライブビューイング2013-2014第5作「ルサルカ」  2014年3月

冷たい雨が降る週末。新宿ピカデリーは夫婦連れらで、まずまずの入りだ。私にとって初めてのドヴォルザークのオペラで、「ルサルカ」。1900年の作とあって映画音楽のような、甘い旋律のシャワーを浴びる。珍しいチェコ語。
米国のスター、ルネ・フレミングが当たり役の純なタイトロールを、可愛く伸び伸びと歌う。先日スーパーボウルで、オペラ歌手初の国歌斉唱という大役を果たし、女王ぶりが堂にいってきた感じかな。モントリオール出身、若々しいヤニック・ネゼ=セガンの指揮。オットー・シェンクのクラシックな演出は具象的でわかりやすい。2月8日の上演分で、休憩2回を挟み3時間40分。3500円。

物語はオペラ版人魚姫のメルヘンだ。人間でない者に心奪われた者が、破滅に至るという定番の悲恋もの。そこに、自然を忘れた人間の愚かさが加わっている。ゆったりとしたテンポで、ところどころ民謡風のメロディがロマンティックに響く。
1幕では深い森に住む妖精ルサルカが、水浴びにきた王子(ピョートル・ベチャワ、テノール)に恋をし、魔法使いイェジババ(ドローラ・ザジック、メゾ)に頼んで人間の姿に変えてもらう。ラインの乙女風の妖精3人娘や、着ぐるみでカエルなどに扮した子供たちが可愛い。
2幕は人間界に移り、2階建ての城のセット。王子はルサルカとの結婚式を準備しているが、魔法のせいで口をきかず、情熱の感じられないルサルカに飽きて、外国の姫(エミリー・マギー、ソプラノ)に心を移してしまう。ルサルカの父・水の精ヴォドニク(ジョン・レリエ、バスバリトン)は怒り、呪いの言葉を吐いて娘を連れ去る。前半、歌手なのに歌わないフレミングは我慢の演技だ。深い赤で統一した衣装や、舞踏会シーンのバレエが優雅。
3幕は森に戻り、追ってきた王子がルサルカの口づけとともに死を迎え、失意のルサルカは湖底に帰っていく。ともに命を絶つ、という悲恋ものとはちょっと違いますね。

「銀色の声」と呼ばれるフレミングが、かつてMETのオーディションで歌ったという1幕「月に寄せる歌」や、2幕「この世の誰も」などアリアをたっぷり聴かせる。案内役スーザン・グラハムと仲が良くて、幕間で見せる弾丸おしゃべりが楽しい雰囲気だ。お馴染みベチャワは、ちょっと高音で辛そうなところがあったけど、持ち前の甘い声が役にぴったりで、いい。ライブビューイングの「イル・トロヴァトーレ」でも聴いたベテラン、ザジックは美声もさることながら、なんとゲジゲジ眉のメークで存在感たっぷり。今回、インタビューでの毒舌はなかったですね。メークといえばレリエも、全身緑で熱演してました。2011年来日公演の「ラ・ボエーム」でコッリーネ役だった人だけど、顔がわかんなかったよ。MET初登場のマギーはゴージャスで貫録があり、これから楽しみかも。

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