宅悦とお岩
岩松了プロデュースVol.2「宅悦とお岩~四谷怪談のそのシーンのために~」 2014年3月
忘れられない震災直後に上演された「カスケード」に続いて、岩松さんの作・演出による若手群像劇の第2弾だ。鈍牛倶楽部などの俳優陣が、アテ書きに応えて個性を発揮。瑞々しくて、とても気持ちがいい。下北沢駅前劇場の中ほど上手寄りで3800円。狭い客席に、幅広い年齢層の演劇好きが集まった感じ。休憩無しの1時間45分。
「四谷怪談」上演を目指す一座のバックステージもので、独善的な演出家(小林竜樹)、悩みつつも戯曲を執筆する安藤聖、期待されているのに演出家と衝突して出演を拒む尾上寛之らが、それぞれに屈託を抱えつつ、なんとか初日にこぎつける。しかしゲネプロ直前に事件が起き、衝撃的に幕となる。
若さゆえのコンプレックスと、どうにも成就しない一方通行の思いが招く錯綜。印象的な「しょせん」の繰り返しなど、誰もがどこか思い当たるシーンがありそう。下手奥に階段がある稽古場のワンセットに、障子と板戸をスピーディーに動かして、時間の経過や、幻想的な待ち合わせシーンなどを表現。相変わらず巧いなあ。お馴染み岩松さんのCMパロディ、「ガラスの仮面」ネタなど、やや楽屋落ちの明るい笑いもたっぷりと。音楽はタンゴです。
きりっと眼鏡姿の安藤、大人になってきた尾上に色気があって、すごくいい。ドキドキさせる役者さんたちだ。曲者のマネジャー・駒木根隆介、前回同様キレキレの主演女優・吉牟田眞奈、安藤のマネジメントを買って出るお調子者の児玉拓郎らに安定感がある。ライダー俳優っぽい長身の高橋ひろ無、その付き人で対照的に小柄な藤木修、小太り小道具係・滝沢恵、スリムな新人女優・梅宮万紗子らも頑張ってました。
最後に清水優が、小林以外はみんな本名、と挨拶。吹越満さんが来てましたね~
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