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小三治独演会「近日息子」「一眼国」「あくび指南」

柳家小三治独演会  2014年2月

冷え込んだ祭日。えっちら北千住のシアター1010まで、初めて大御所・小三治さんを聴きに行く。さらっとした江戸前の古典が楽しい。年齢層は高め。立派なホールの2階最後列で3800円。

前座は柳家ろべえで「近日息子」。与太郎と父親の頓珍漢なやり取りだ。与太郎は「近日より」をもっとも近い日、つまり明日からだと思い込む、親父が「頭が痛い」と嘆くと、気を利かせたつもりで医者を、さらに葬儀屋を呼ぶ。様子を見ていた長屋の面々は弔問の相談を始めるが、脱線して「お前はソースをホースと言っても間違いを認めない」などと喧嘩しちゃう。ちょっと三三さん風で、聴きやすかった。
続いて小三治さんが登場。「待ってました」と大きな声がかかる。師匠はイメージ通りの淡々とした口調で、大雪の日にタクシーを呼ぶ苦労、都知事選の投票に行き損ねた、といってもろくな候補がいない、談志は巧かったけど政治家にならなきゃよかった、政治家の応援は遠慮したい、自分は青山高時代から人気者で、ついにラジオの素人寄席番組で辞めないでくれと引き留められた、1回だけ若き細川さんの応援に行ったことがあるけど…などとご隠居風ボヤキ節を延々。ひょっとしてマクラだけかな、と思ったころ、「一眼国(いちがんこく)」を短めに。香具師が旅の六部僧に、見世物になる珍しい事物を尋ねる。北のほうで一つ目の少女に遭遇したと聞き、勇んで出かけると、一つ目の村人たちにつかまってしまい、「こいつ目が二つある、見世物に出せ」。現代の感覚だと暗い噺だけど、理屈っぽくなく飄々とした味わいだ。

中入り後、とぼとぼ登場して、今度はマクラ無しで「あくび指南」。唄も踊りも不器用な熊が、嫌がる八に付き合わせて、新しい習い事に行く。ちょっと粋な感じの家で、なんと習うのは「あくび」だ。下地は無いというと、入門編で春夏秋冬バージョンからと言われるが、夏の舟遊びシーンのせりふがなかなか難しくて四苦八苦。待たされて退屈した八のほうが、あくびを褒められる。
春風亭一之輔さんで聴いたことがある呑気な演目。今回のほうがさらっとして、逆に飽きなかったかな。熊はいかにも職人で、師匠の煙草が旨くて稽古どころじゃなくなるあたりで、思わず笑っちゃう。滑稽なぶん、色気は抑え目かな。
考えると落語には、庶民がもてたい一心で芸事を習うシチュエーションがけっこうある。だいたい顛末はくだらないんだけど、江戸っ子の粋を感じますね。

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