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文楽「御所桜堀川夜討」「本朝廿四孝」

第一八六回文楽公演第三部「御所桜堀川夜討」「本朝廿四孝」  2014年2月

再度足を運んだ文楽の2月公演は、時代物2作。冷え込みがきついせいか、ちょっと空席がある国立劇場小劇場。後ろ寄り、やや左で5700円。25分の休憩を挟んで3時間弱。

まず「御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)」から、弁慶上使の段を三輪大夫、英大夫で。やや地味だけど、豪傑弁慶が男泣きする珍しい演目ですね。冒頭の「海馬」のシーンは、義経の妻・卿の君を見舞った腰元信夫(一輔が上品に)の母おわさ(和生さん、激しい動きで大活躍)が、安産のお守りにとタツノオトシゴを渡す。他愛無いこよりを使ったクジ引き遊びや、女同士の会話が賑やかだ。
黒髪を振り立てたでっかい弁慶(玉也)が登場すると、一気に空気が重々しくなる。頼朝が義経の謀反を疑い、平家の血をひく卿の君の首を差し出せと迫っており、信夫を身替りにしようとする。おわさは、名も知らぬ父にひとめ会わせたいと必死に抵抗、その手がかりである真っ赤な片袖を示す。それを見た弁慶はいきなり信夫を刺しちゃって、実は自分が父親だ、娘よ、あっぱれお主の犠牲になってくれ、と振袖のもう片方を見せて告白する。英さん、なかなかの迫力だ。最後は信夫と、自害した乳人の首ふたつを持って仁王立ち。相変わらず、強引で悲壮な展開。だけど、不器用な弁慶にもお稚児時代があり、実は生涯一度の行きずりの恋をしていた、というひねりがロマンティック。色気があります。

休憩後に近松半二らの名作「本朝廿四孝」を、人間国宝揃い踏みの豪華配役で。この演目を観るのは2回目。
十種香の段は、嶋大夫さんと富助。さすが渋くて、染みますねえ。導入は鮮やかな黄色い衣装の蓑作、実は勝頼(玉女さんが端正に)を中央に挟んで、許婚の勝頼を想い続ける八重垣姫(待ってました蓑助さん)と、武田家の宝・諏訪法性の兜を探す腰元濡衣(文雀さんが重厚に)が、交互に思いを吐露する。絵画的で美しい。中盤からは無茶で一途な赤姫が暴走して、独壇場。蓑助さんが細かい手の動きなどで、可愛さを存分に見せる。ついに姫の思いが通じるけれど、いとしい勝頼は謙信に見破られて追われる羽目に。
大詰め奥庭狐火の段は、期待の大スペクタクルだ。呂勢大夫に、迫力抜群の清治、ツレは清志郎さん。冒頭だけ琴が加わる。舞台装置は瑠璃灯が下がり、狐火が飛んで外連味たっぷり。
そこへお待ちかね勘十郎さんが、まず白い衣装の狐で登場。やっぱりこの人の狐は生き生きしているなあ。裃をぱっと替えて八重垣姫に変身。勝頼に急を知らせたいと思い詰め、兜に祈ると泉水に狐の顔が映る。諏訪明神の遣い・狐が乗り移って毛振りの激しい動きが続き、姫の早替わりでは左の一輔さんらも顔出しに! 最後は客席も明るくなって、玉勢さんらの狐もわらわらと集まってきて盛り上がりました!

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